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2004/09/06(月)
中原中也
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冬の夜
みなさん今夜は静かです 薬鑵(やくわん)の音がしてゐます 僕は女を想つてる 僕には女がないのです
それで苦労もないのです えもいはれない弾力の 空気のやうな空想に 女を描いてみてゐるのです
えもいはれない弾力の 澄み亙(わた)つたる夜の沈黙(しじま) 薬鑵の音を聞きながら 女を夢みてゐるのです
かくて夜は更(ふ)け夜は深まつて 犬のみ覚めたる冬の夜は 影と煙草と僕と犬 えもいはれないカクテールです
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空気よりよいものはないのです それも寒い夜の室内の空気よりもよいものはないのです 煙よりよいものはないのです 煙より 愉快なものもないのです やがてはそれがお分りなのです 同感なさる時が 来るのです
空気よりよいものはないのです 寒い夜の痩せた年増女(としま)の手のやうな その手の弾力のやうな やはらかい またかたい かたいやうな その手の弾力のやうな 煙のやうな その女の情熱のやうな 炎(も)えるやうな 消えるやうな
冬の夜の室内の 空気よりよいものはないのです
まるで桜井和寿の歌ですね(ぱくりか桜井) いえ、オマージュです。 桜井君のサ行がきちんと言えない歌唱で、 曲をつけて歌ってもらいたい。
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