−風来坊の砦−
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2004/06/29(火) ツボ場面大会♪H
久々のツボ場面は、最新第25話『新選組誕生』より、二人の局長が最後に言葉を交わす場面です♪


宴席を立ち、廊下に佇む芹沢を追って現れる勇。
昼間、容保候との謁見時に拝命した、新たな隊の名を芹沢に見せる。



「芹沢さんはどう思われますか?」
「…どうして俺に聞くんだ」
「筆頭局長ですから」



宴の席でもずっと暗い表情だった勇は、ここでも沈んだ声だったのに、この言葉は(既に目が潤んではいても)はっきりとした口調で告げる。その近藤を見る芹沢。


「他の奴らには?」
「まだ見せていません」
「松平容保様に頂いた名前ですが、芹沢さんは誠忠浪士組に深い思い入れがありますし…どうすればいいのか、私は悩んでいます」



誠忠浪士組の名と新たな隊名、排除されるべき古いものとそれを排除した後に生まれる新たなもの。
芹沢暗殺を迷っている胸中を言葉の中に秘めながら、沈鬱な声音で話す勇は、耐え切れず、暗殺について芹沢に忠告しそうになる。


「芹沢さん、あなたに言っておかなければならないことがあります」
「聞きたかねぇな。…鬼になれよ、近藤。鬼になって俺を食っちまえよ」


この場面、煮え切らない勇に苛立ちを感じる人も多かったのかもしれません。
かれど、私にはそう思えなかった。
この二人の間には、二人にしかわからない深い絆のようなものが確かにあった、と思う。
出会ってからずっと、勇は徹底した態度で、誰にも信用されないことを自ら知っている芹沢を信じてきた。
芹沢自身にはない、勇のその人を惹き付ける純粋さと真っ直ぐさは、結果的に芹沢を追い詰めてしまった。
自分と対極にある勇は、もしかすると自分自身がなれたかもしれない姿であり、芹沢にとっては憧れでもあったのかもしれない、と私は思っています。

勇を疎ましく思いながらも、彼に「救い」を求めていたであろう芹沢鴨。
仲間の意思に反してまでも、最後まで真剣に自分のことを想い、信頼を寄せてくれた勇の言葉は、裏切りと不信・劣等感に苦しみ、死に怯える芹沢の心を、最後の最後で救ったのではないか…と。

もう一度見せてみろ、と言われ、『新選組』の名を見せると、
「悪かねぇな。明日からはこの名前でいけよ」
「はい…」

いけよ、というその言葉の中に、芹沢自身は含まれていない。それは、芹沢から勇への、最後のはなむけの言葉だったのかもしれない。


「嵐山の紅葉な、そりゃあ見事なもんだったぜ。近藤さんも一度見に行くがいい」


そう優しい言葉をかけ、歩き去る芹沢の背を、涙にかすんだ視界を逸らさずに見つめ、声にならない声で、「…はい…」と呟く。
この場面、本当に秀逸でした。
あたたかささえ感じさせる佐藤さんの芹沢も、慎吾君の勇の最後の表情の哀しさも…。

しつこいようですが、この大河での芹沢鴨と近藤勇の関係は、これまでの新選組物では考えられない程の濃い絆を持っていたように思えて仕方ありません。
もしも、二人がこういう形での出会い方でなく、もっとずっと昔に出会えていたら。
勇と歳三以上の関係にさえもなることができたのかもしれない、そう思ってしまうのです。


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