インド日記
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2007/02/18(日) タンジャーウールのナティアンジャリ
 2年ぶりにナティアンジャリ(踊りの祭)を見た。これは踊りの王とされるナタラージャ(シヴァ神)に捧げるもので、本来は南インドのシヴァ寺院では本拠地とされるチダンバラムで行われるが、昨今ではタンジャーウールやクンバコーナム、もっとローカルなところでも行われている。

 チェンナイのミュージックシーズンほどではないが、ナティアンジャリは観光にも一役買っている。最近はバスの送迎がよくなったらしくタンジャーウールにも外国人観光客が増えた気がする。ダンサーもアメリカ、オーストラリア、マレーシアから参加していた。

 そんなに世界中から人が集まるというのに、地元では前々日になるまでナティアンジャリの話題すら出なかった(笑。半信半疑でお寺に行くと大々的にやっていたので安心した。学校は音楽祭には非常に敏感だけど、踊り関係ではないから皆あまり見に行かないのかもしれない。もっともこのお寺はいつも皆が集う場所なので、一般参拝客がたくさん見に来ていた。

 レベルには一貫性がなく、学芸会レベルのものから本当に素晴らしいダンサーまでいろいろだった。出演するのも結局はコネクションなのらしい。とはいえ、いい時間帯(夕方より後、深夜より前)に出演するのは当日のメインダンサーというのはプログラムからわかる。

 さて、今日のメインはDr.パドマ・スブラマニヤムとそのお孫さんだった。この方は寺院の108のカラナ(ポーズ)に非常に詳しく、踊りもステップはさることながらポーズがなんと言っても美しい。もう70歳近い?と思うのだけどいつもながらユーモアたっぷりのパドマワールドを見せてくれた。

 テーマはゴーパーラクリシュナ・バーラティの劇「ナンダナール・チャリトラム(ナンダンの物語)」からで、一人芝居にもかかわらず観客を釘付けにする余裕のパフォーマンスだった。10歳くらいのお孫さんは、踊る妖精とでもいいたくなるような可憐さに加え、正確なリズム感と技術を持っていた。1曲しか踊らなかったので非常に残念。

 21時になると、ご本尊のお休みの儀式がある。これは毎日のことだが、こんなイベントでもない限り夜に来ることはないので今日はしっかり見ておこうと思った。ほら貝や見たことがない原始的ホルンのような吹奏楽器、いくつかの打楽器を叩く人たちが10人くらいで大音量の音を出す中(ドームなので凄まじいエコーがかかる)、綺麗な傘がさしてある小さい御輿にシヴァ神の小さい像(本尊は巨大なのでその代わり)が乗せられる。

 ついていくとパールヴァティ(シヴァ神の伴侶の女神)を祀る場所に行き、小さい部屋に入れられた。そしてしばらくしてカーテンが開くとシヴァとパールヴァティがブランコのような寝床に座っていて、参拝客とお坊さんたちがお休みの歌を歌った。(ManikkavasagarのThiruvasagam)

 それを見届けるとプラサーダム(おさがり)が配られ、なんともほのぼのとした気分でお寺を後にした。

写真は若かりしころのDr.パドマ・スブラマニヤム

 

 

 
 

2007/02/08(木)
 私がいるところは昔、歴代の王朝が芸術を庇護したため非常に音楽、舞踊、文学が栄えたところだ。北インドと南インドの文化か交流してたくさんの作曲家、音楽家を輩出した。しかし現代ではチェンナイやバンガロールと言った都市がその役割を担い、古都は古都どまりになっている感がある。

 音楽家の特別な場所であるから音楽祭には有名な演奏家が来る。しかし本当に超有名な歌手になると、年に1回の音楽祭に来る以外、小さいコンサートや結婚式の余興などにはほとんど来ないものだ。

 この2年半の間にいろんなコンサートを聴いたり見たりしたけれどチェンナイではなく、私のいる町で3回拝聴する機会があった歌手が一人だけいる。しかもどれもちゃんとしたコンサートではなく学校が招聘したり、結婚式の余興だったり(新婦の家族が音楽家)、ある大学の学会の記念コンサートだったりしたため、会場がうるさい、悪天候でガラガラなどあまり恵まれたコンサートではなかった。

 この歌手はテレビでもレギュラーで南インド音楽を教えている大変に有名な人だが、超がつくくらい謙虚で本当に頭が下がる。
周りがうるさかろうと、観客がいようがいまいがいつも最高の舞台を見せてくれる。ついでに私のことも覚えていてくれていつも激励を下さる(目立つからだと思うけど)。

 芸術家というのは(インドでは特に)もともと庇護されることで技術を磨くものだったので、現代のようにギャラで生活するようになると小さいコンサートのために半日かけて小都市まで移動するのは非常に効率が悪いと思うのだが、それを厭わず一向に尊大にならず、最高の技を磨き続けるこの歌手に会えたことに感謝したい。

 


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