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2007/02/08(木)
縁
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私がいるところは昔、歴代の王朝が芸術を庇護したため非常に音楽、舞踊、文学が栄えたところだ。北インドと南インドの文化か交流してたくさんの作曲家、音楽家を輩出した。しかし現代ではチェンナイやバンガロールと言った都市がその役割を担い、古都は古都どまりになっている感がある。
音楽家の特別な場所であるから音楽祭には有名な演奏家が来る。しかし本当に超有名な歌手になると、年に1回の音楽祭に来る以外、小さいコンサートや結婚式の余興などにはほとんど来ないものだ。
この2年半の間にいろんなコンサートを聴いたり見たりしたけれどチェンナイではなく、私のいる町で3回拝聴する機会があった歌手が一人だけいる。しかもどれもちゃんとしたコンサートではなく学校が招聘したり、結婚式の余興だったり(新婦の家族が音楽家)、ある大学の学会の記念コンサートだったりしたため、会場がうるさい、悪天候でガラガラなどあまり恵まれたコンサートではなかった。
この歌手はテレビでもレギュラーで南インド音楽を教えている大変に有名な人だが、超がつくくらい謙虚で本当に頭が下がる。 周りがうるさかろうと、観客がいようがいまいがいつも最高の舞台を見せてくれる。ついでに私のことも覚えていてくれていつも激励を下さる(目立つからだと思うけど)。
芸術家というのは(インドでは特に)もともと庇護されることで技術を磨くものだったので、現代のようにギャラで生活するようになると小さいコンサートのために半日かけて小都市まで移動するのは非常に効率が悪いと思うのだが、それを厭わず一向に尊大にならず、最高の技を磨き続けるこの歌手に会えたことに感謝したい。
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