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2010/03/20(土)
春コミ
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明日の天気は大荒れっぽいですが、 潜りこんでいたせいで、 どうにかこうにか新刊が出そうです……
まだ、これから製本残ってるけど、ゴールは見えた!!! そんなわけで明日は、誰得?俺得!な原→ミハコピ本が スペースに並んでいるかと思います。
ちなみにスペは『東5 ふ-17b B−Lab.』
うん、まあ。 私は死んでますがwwwww
そしてまいどのごとく最初のうちはいないかと。 でもってロングパーマ、ふけ顔、眠そうで死んだ魚みたいな目をしたのが本人です。 並んでたらとりあえずふけ顔の方が私だと思っておいてください (*´∀`*)
つーことで、新刊ためし読み↓
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オレに気がついた三橋は、何でオレが自分を見ていたのかなんてということには考えが回っていないのか、口元が『大丈夫?』と動いたように見えた。たぶんさっきの泉に蹴られたことを指しているんだろう。
(『平気、平気』)
口パクで応えながら、手のひらをひらひらと振る。 泉の所業は個人的に許せるもんではないが、そこまで大げさに心配されるものでもない。肉体的な痛みという点だけをあげるなら、田島とふざけあってるときの方がはるかに上だ。
(三橋は心配性すぎんだよな、でもまあそこがあいつのいいとこなんだけどさ)
野球部に限ったことじゃないが、運動部のエースなんてそれこそ我が強いタイプばっかりかと思っていたオレにとっては、三橋はそれこそ規格外だった。
(それこそ野球部のしかも投手だって聞いたときには、マジ最初は冗談かと思ったし)
小柄で性格もオドオドびくびくしていた三橋がエースだと聞かされたとき、素で「嘘だろっ!」と叫んでしまったのはさすがに今思い出しても失態だったとしか言えない。
(泣きそうになってたもんな、あいつ)
まずったとは思ったけど、どうにもその印象が強すぎて、うちの野球はよほど人材がいないんだと思ったもんだ。 けど、その印象はすぐに吹っ飛ぶことになった。 同じクラスの浜田に請われて行った予選会の第一戦で。 雨の中去年の優勝校相手に一歩も引かなかったあいつは、紛れもなくチームの要となるエースだった。 そう、あのときのあいつはそれ以外の何者でもなかった、
(まっ、普段があんなんだからなんかちっともすごくは思えないなというか、つい忘れそうになっちまうんだけどさー)
それでもあの一戦で、もう三橋をエースじゃないとは思えなくなったのも事実だ。どれほど風変わりでも、一般的なイメージからかけ離れていても、三橋はまぎれもなくエースナンバーを背負うべき人間なのだとオレの目には焼きついた。 そういやちょうどあの頃からだっけか、あいつとよくしゃべるようになったのは。 長々と今日という日の大切さを語る滋賀の話を耳に素通りさせながら、窓の外を見る。 どこからか風に運ばれたのか、淡い色をした花びらが舞う青い空を見ながらつらつらと記憶を飛ばす。 3年間同じクラスだったわけだから、それなりに三橋との思い出も多いはずなのだが、どうしても思い出すのはあの試合のことと、そしてたぶん初めて三橋と一対一の会話をしたあの時のことだった。 そうだ。あの日の空の色はもっと濃かった。 それに、今よりももっと暑かった。 滋賀の声が、頭の中でうるさいほどの蝉の鳴き声に摩り替わっていった。
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