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2009/03/03(火) 雪だ!
夕方からちらちら降ってきた雪がうっすら積もりだしてきた!
寒い! でもキレイ!!
寒いの嫌いだけど、雪は好きなんだよなぁ。

あと、雪のことを六花って呼ぶのも好きvv
雪の結晶が六角形で華みたいに見えるからこう呼ぶらしいんだけど、
こういうのって日本語の素敵なとこだよな〜って思うvvv
綺麗な言葉って多いよね〜vv


んで、上の日記とは関係ないんだけど、
この間絵茶で合作してもらった絵からうっかり妄想文を書いてみた。
【大人三橋+子供三橋】
タイムトリップネタはイズミハで一度書いてるから若干ネタ被りになってるとこもあるけど、それでもばっちこーい!という方はどうぞ〜。

















「ここはどこ、なんだ…オレはいったい」

思わず呟いてしまうほどには混乱していた。
自分の立つ場所を取り囲む、見慣れない光景。
いや、正確にいえば見慣れないと言うのは違う。
ここがどこなのか、場所としてはいやというほど知っている。
忘れるわけがない、だってここは自分が育った町なのだから。
それならなぜこんなに混乱しているかといえば、
記憶に間違いがなければ、自分はついさっきまで東京にいたはずなのだ。
それがどうして一瞬にして埼玉にいるのか。
誰かに聞きたくても、あたりには人影すら見つからない。

「疲れて、るのかなぁ」

覚えがないうちに帰ってきてしまうほど、
連日の登板は思った以上に自分へと疲労が溜めていたのだろうか。
それとも自分が勘違いしているだけで、ここは自分の知っている場所ではない別のどこかなのだろうか。
でも、それにしては似すぎている。
ひとまずこれからどうするべきか、行動を決めかねていた三橋の耳に小さな泣き声が聞こえた。

「にゃぁ」
「猫?」

泣き声につられて足元を見ると、そこにはつややかな毛並みの黒猫がいた。
金色に光る月のような瞳がじっとこちらを見ている。

「ああ、そっか…」

唐突に思い出した事実。
自分はさっきまでこの猫を追いかけていたんだった。
そう、あれは練習場に向かう途中のことだ。
この黒猫を見つけて、人が近づいても逃げないのが珍しくてしゃがみこんだら、
その拍子にポケットから滑り落ちた鍵をこの猫に持っていかれてしまったんだった。
慌てて追いかけて、どこかの路地を曲がって……そこで記憶がぷつりと途切れている。
なんでこんな大切なことを忘れていたのか。
そんな自分が信じられなくて三橋は軽く頭を振った。
やはり、相当疲れが溜まっているみたいだ。

「なぅ〜」

もう一度黒猫を見ると、その足元にはしっかりと盗まれてしまった自分の鍵が置いてあった。

「ね、それ、返して」

言葉が通じるわけがないのだけれど、なんとなく語りかけてしまう。
猫がおびえないようにしゃがみこんでゆっくりと手を伸ばしす。
もう少し。
あとちょっとで手が鍵に届くというときに、

「あっ!」

黒猫の方が先に鍵をくわえてしまった。

「待ってっ!」

軽やかに走り出すその背中を追いかける。
ただ不思議なのは、鍵をくわえた黒猫が三橋の視界から消えることがないのだ。
塀を乗り越えられたり、人が通れない狭い場所なんかを通られてしまえば追いかけることなんかできないはずなのに、
その黒猫はまるで三橋があとをついてくるのを待っているかのように、時折立ち止まりながら前へと進んでいく。

ちりり。

黒猫が走るたびに、その首に取り付けられた鈴がすんだ音色を奏でる。
瞳と同じ金色の鈴が。誘うように。

つかず離れずの追いかけっこをしばらくしていると、
追いかけていた黒猫のしなやかな身体が公園の中へとするりと消えていく。

「だから、待って!」

深く考えずに飛び込んだその先で、三橋は驚きに目を見開いた。
そこにいたのは、まぎれもなくもう一人の自分だった。

(うそっ、なんで!?)

ただでさえ混乱している頭がさらにこんがらがっていく。
ここに立っているのも自分。
目の前にいるのも自分。
ただし、その姿は20年近くも前のものではあったけれど。

(オレ、だよね……)

他人の空似というにはあまりにも似すぎているし、
それに着ている服も、持っているものも記憶の中にあるものと寸分違わない。

「お兄ちゃん、だれ?」

か細い声が耳に届く。
どうやら突然現れて自分を見つめる大人に、もう一人の自分はおびえているみたいだった。

「えっと…その」

この場合、なんと言えばいいのか。
「未来の君だよ」と言っても信じてはくれないことだけは確かだ。

「うっと、鍵…」
「かぎ?」

かろうじて搾り出した声に、もう一人の自分が足元を見る。
そこには、追いかけていたはずの黒猫が行儀良く座っていた。

「にゃぁ〜ん」

甘えるように鳴く黒猫に、小さな自分が地面にちょこんと置かれた鍵を拾う。

「これ…のこと?」
「うん、ありが、とう」

ちゃらり。
手のひらの中に落とされた鍵の重みに、これが間違いなく現実なんだと思い知る。
そして同時に気がついたこと。
メロンパンを握り締めた自分の目じりが赤く染まっていることに。


↓の続く


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