ホームページ最新月全表示|携帯へURLを送る(i-modevodafoneEZweb

2005年7月
前の月 次の月
          1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
31            
最新の絵日記ダイジェスト
2012/05/03 スパコミ
2012/03/17 春コミ
2011/10/21 スパーク
2011/10/20 新刊
2011/05/17 おめでとう!

直接移動: 20125 3 月  201110 5 4 月  201012 11 9 8 7 6 5 4 3 2 1 月  200912 11 10 9 8 7 6 5 4 3 2 1 月  200812 11 10 9 8 7 6 5 4 3 2 1 月  200712 11 10 9 8 7 6 5 4 3 2 1 月  200612 11 10 9 8 7 6 5 4 3 2 1 月  200512 11 10 9 8 7 6 5 4 3 2 1 月  200412 11 10 9 月 

2005/07/08(金) 本日はラグジェナ七夕駄文。
「でっ、・・・それは何なんだ、ラグ」

「何って? みりゃわかんだろ〜、た・な・ば・た ☆」



あんまりにも得意そうに小さな笹の束を掲げてみせるラグに、思わず笑いがこぼれた。



「ふ〜ん、ずいぶん小さいけど今年は本物なんだな」

「なっ! いいだろっ!去年のアレは、アレで、楽しかったんだからさ」

「・・・まあ、確かになっ」

「イッエ〜イ!やっぱりジェナもそう思うだろ〜!」

「ああ、そうだな・・・」





そう、確かに楽しかったんだ・・・辛い日々であったはずなのに。








去年の今ごろは、まだ戦いの真っ只中にいた。

追われる毎日に、終わりの見えな中繰り返される戦闘。

体には疲労が溜まり、悲しみや怒りで神経だって擦り切れていたはずなのに、

それでも、あそこに集った誰もが希望を、明るさを忘れてはいなかった。



あの日だってそうだった。

きっかけはなんだったか、JAから身を隠すように逃れた山の中で、

いつものようにラグナが騒ぎだしたのが始まりだった気がする。

せっかく七夕なのだから願い事をしないなんてもったいない!

とかなんとか言いだしたんだっけ。




追われてる身で、さらに急なことだったから、

当然なんの準備なんてしていない中で、

それでも山に生えていた竹を笹の代わりにして、

あまっていた紙切れで不恰好な飾りや、短冊を作って飾っていたっけ。

なんだかんだと大騒ぎをしながら。





たった1年前のことなのに、ひどく懐かしく感じる。






「ジェ〜ナ〜ッ!なぁ〜に、ぼ〜っとしちゃってんだYO!」

「えっ、あ、いや、なんでもない」



ラグに呼ばれて我に返る。

どうらやら相当ぼ〜っとしていたみたいだ。



「ふ〜ん、まっいいけどよっ。早く願い事書こうぜっ!」

「ああ、そうだな」



けれど、いざ手渡された短冊に願いを書き込もうとして、その手が止まった。



― ・・・オレノネガイハナンナンダロウ・・・ ―



あの時の願いはただひとつだった。

戦いを終わらせ、ピープルに平和を取り戻すこと。

ただそれだけだった。

それだけが望みだった。

そのためにアムドライバーになったのだから。





けれど、戦いも終わった今、

俺は何を願うというのだろう。

ずっと叶えたかった願いが叶ってしまった今このときに・・・。



「ジェ〜ナっ!」



下を向いてしまった顔に温かな手が触れる。



「ラグ・・・・」

「なんつー顔してんだよっ! 

 ジェナが書かないってならオレがジェナの願いを代わりに書いちまうぜ」



スクールの時から変わらない、いたずらっぽい笑顔を浮かべたラグが、

手に持っていた短冊を抜きさって、何かを書き込んでいく。



「ラグ、いったい何を・・・」

「まぁまぁ・・・っと、これでよしっ! どうだっ!」



目の前に突き出された短冊の願いに思わず絶句する。




『ラグナのそばにずっといたい by ジェナス』




「////// なっ、ラグっ!!なに書き込んでるんだよ!」

「モチロン、ジェナの願い事に決まってるじゃんか。違った?」

「だ、誰がっ!!」 

「Aha〜n! そう照れるなって。でもまあ、これはジェナが願い事に書かなくっても、
 
 オレが離れる気なんかないから意味ねぇ〜か! 

 となると、ジェナの願いはこっちの方がよい?」




そう言って差し出された2枚目の短冊に、今度こそ息が止まるかと思った。




『叶えたい願いが見つかりますように by ジェナス』




弾けるように思わず見上げた視線の先には、

いつものおちゃらけた笑顔とは違う大人びた笑顔。

そんな笑顔によけいに何も言えなくなってしまった。



「あせんなくったっていい〜んじゃねぇ〜の。オレらはまだ16なんだしさ。

 きっと見つかるってジェナならさ」



ラグナの言葉に胸に刺さっていた刺が抜け落ちていく。



「Thank you ... ラグ....」

「ど〜いたしまして」



焦る必要なんてどこにもなかったんだ。

考えられないってことは、どんな未来も広がっているってことなんだから。



「ほらっ」

「? なんだよ、ジェナ??」

「短冊っ! 飾んないと叶わないだろ、オレの願い」

「!!! ジェナ、それって両方とも?」



ひらひらとラグナの手の中で揺れるのは、

ラグナが書いた2つのオレの願い。



「そういうことにしといてやるよ、今日なっ」

「ちぇっ、素直じゃね〜の」

「そんなの今更だろ?」

「だなっ」

「だろっ」



子供のようなたわいないやり取りに、

思わず笑いをこらえきれずに二人してふきだす。



ひとしきり笑いあったあと、笑いすぎて涙の滲んだ目をぬぐえば、

目の前にどこか熱をおびたラグナの顔があった。

訴えかけてくる熱と、ゆっくりと頬に伸ばされる指先の求めるままに、

オレはそっと目を閉じた。



唇に触れるぬくもりに、

織姫と彦星には悪いけれど、

大切な相手がそばにいてくれることを幸せだと思った。





昨日の予告(?)通り、アムドラ版で七夕SS
After シリーズ番外編(?)のラグジェナ
まあ、本編を早く書けという感じなんですがねぇ(笑)


 Copyright ©2003 FC2 Inc. All Rights Reserved.