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2004/11/13(土)
薬物について
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復活して、いきなりこんな話題もどうかと思うが、 自分でも考えておきたいことの一つのなのであるので、 よろしければ、お付き合いいただきたい。
ここで言う薬物とは、覚せい剤やヘロイン等の麻薬としての意味で言いました。 当然、マリファナや大麻樹脂なども入れるべきでしょう。 シンナーや、トルエンなどのような有機溶剤もです。
かつてラッツ&スターの一員として活躍して、解散後、コメディアン・タレントとして一世を風靡した「マーシー」こと、田代まさしさんが3度目の逮捕を受けました。 今回の公判では恐らく実刑を免れることは難しいでしょう。 日本は法治国家ですから、当然といえば当然でしょう。
しかしながらです。その事を踏まえたうえで、あえて言いたいのですが、 薬物による犯罪については、これでいいのでしょうか。
犯人を捕まえて、刑務所に入れて、留置期間が終わったらホッポリ出す。 これで、いいのでしょうか。
薬物には依存性があり、再犯率も非常に高いものになります。 ましてや、私が以前住んでいた新宿や、渋谷などの繁華街では比較的安易に手に入れられるようです。 低年齢化も進み、購入する金欲しさに、高校生が学校で売りさばいているのが現状です。 歌舞伎町やセンター街を歩いていても、明らかに「やってる」人たちが目に付きます。 大麻などは独特の香りがしますし、吸引の道具はそこら辺の店で一般人でも昼間から買うことができます。
私はタバコを吸いますが、量を減らすことはできても、完全な禁煙はできません。 もちろん私の意志の弱さが原因ですが、体への影響の程度の差があるとはいえ、薬物もおなじでしょう。
ある高校の教師の話ですが、生徒に薬物中毒者がいて、警察の厄介になり続けていたそうです。 その教師も私生活を犠牲にして、更生を目指したそうです。 しかし結局その生徒は、薬物の大量摂取が原因でなくなりました。 そのことがきっかけで、彼は薬物と戦うことを決意して、彼なりに勉強し、ある薬物に詳しい医師を尋ねたときにこう言われたそうです。
「その子を殺したのは、あなただ」と。
その真意は、薬物中毒は病であり、教師や家族の愛情や手助けだけでは、断ち切れない。 病である以上、医師と言う専門家の処を一緒に尋ねて来るべきだったというものです。
愛しているからといって医学の力なくして、癌患者を救えないように、 薬物中毒者も然りということです。
薬物中毒患者が薬物を断ち切る手助けをするためのダルクという施設があります。 その殆んどは私的な団体であり、資金も患者の家族が頼りらしいです。 運営しているスタッフも、過去に中毒者である方が多く、その地獄を見てきてきた方たちです。
薬に手を出したばかりに、組織を追われホームレスになった組長。 自分と恋人に薬物を投与して、恋人を死なせ失った10代の青年。 ダイエットと言い訳して使い始め、夫も家族も失った主婦。
彼らの話を聞くと皆同じです。 家族や恋人に「うん、もう絶対薬に手を出さないよ」といいながら、 頭の中では「どうやって手に入れよう」「金をどう工面しよう」と考え続けているそうです。
ダルクのスタッフで、薬物と決別して20年以上経過している人も、今でもその誘惑が忘れられないと語っていました。
犯人や売人を逮捕して、罪を償わせる。 これは大切なことでしょう。確かにそうです。 しかし、彼らが元の道に戻らないようにする為の手助けが、今の世の中には少なすぎるような気がします。
田代まさしさんが依存者かどうかはわかりませんが、依存者である可能性がある以上、彼の家族は病院か、施設に連れて行く必要があったのではないでしょうか。 家族が連れて行かないなら、国が連れて行くべきだったと思います。
犯罪者に対して自業自得と言い切るのは簡単なことですが、 人が人の道を踏み外すのには、それなりの「経緯」というものがあると、 私は思います。 その経緯を考えない限り、将来はないでしょう。
今後、間違いなく本人や、まきぞいを食う人たちをふくめて 薬物の被害者はどんどん増えます。 都市部だけではなく、地方を含めてますます、薬物汚染はひろがるでしょう。
だからこそ、捕まえるだけでなく、罪を償った後、 手助けをする公的な施設や機関が必要に思えてなりません。
最初に紹介した高校教師は、今年だけで22人の生徒を薬物によって亡くしたそうです。
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