|
2004/11/24(水)
雪の音
|
|
|
今週は詩の話ばかりになってしまうかもしれない。
歌い手がイメージさせる季節というものがある。 チューブ・サザンは夏。aikoなら春から初夏。 秋はオフコース・古内東子・竹内まりあ。 冬、それも雪の降り積もる夜なら、柴田淳だ。
子供の頃、雪が降る夜になると窓際で寝そべって空を見ていた。 空から降ってくる雪を見ていると、まるで雪の中を飛んだ気分になった。 とてもいい気分で、好きだった。
7年程前、東京で雪が降った。 その頃、新宿の撮影スタジオで仕事していて、外にでるとタクシーも無く、 京王線のホームで動かなくなった電車が動くのをずいぶんと待った。 深夜2時近くになり、臨時で冷蔵庫のように冷えた電車が動き、世田谷まで帰った。 駅前から、車も通らなくなった道を凍った雪を踏みながら20分ほど歩いた。
当時、一緒に住んでいた女性とはだめになる予感があり、 以前の彼女とは違う・・まるで他人になったような顔が見るのが嫌で、 マンションの近くの公園で、雪の中煙草を何本か吸ったのを覚えている。
したくもない喧嘩をして、言いたくないことを言い、 下したくない結果を出して、マンションを出たのも雪の日だった。
ふわふわと軽い雪。吹き付ける雪。氷の結晶のような乾いた雪。 あれから何度も雪がふったが、あの時の雪ほど沁みた雪は無い。
冬は好きな季節だが、雪は単純には好きといえなくなった気がする。
願わくば、いつか、本当にいつか隣に誰かがいてくれる日がきたら、 雪の夜、2人で窓際に寝そべって、「ねっ、雪の中飛んでるみたいでしょ」と空を見上げたい。
「雪の音」 柴田淳 君の大好きな雪が降ったよ きっと今頃どこかで笑ってる 昔は君のため祈った 今は誰が降らせているだろう
舞い降りてくる雪の粒は 君と過ごした日々のかけら アスファルトに消えてしまう 僕たちの記憶
街は銀の色 音のない白 君は聞こえると言った雪の声 立ち止まりひとり耳を澄ます こんな小さな音聞いていたの
僕の肩に降りた雪を なぜか愛しく感じていた 君は今も僕の中で降り続いている
今夜もまた 雪の君は 僕の手のひらで消えてしまう ずっと笑っていてほしいから 雪よ止まないで
君は今も僕の中で降り続いている
|
|
|