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2004/03/24(水)
卒業を迎えた者たちへ
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春である。まもなく新社会人が町にあふれる。
短大、大学生で就職難を理由に自殺するものが増えていると言う。 年間300人を超えると言う。
私は、人に言えるほどご立派な人生を過ごしてきてはいない。 高卒であり、すぐに社会に直面してきた。 家庭の経済面では、考えられる最高の環境であったが、自立とともに激変した。 最初は新聞配達店の住み込みであり、部屋は3畳である・・。 正直、部屋に通されたとき「物置」かと思ったほどだ。 それからもいわゆるフリーターとして、7年程過ごした。 建築現場・引越屋・本屋・ビデオ屋・ペンション・・・etc。 全部で40種類ほどのバイトをした。
その後も1年以上、バイトしながら旅行したり、ぶらぶらしていた。
ネクタイを締めるサラリーマンと言うのもやったことはないし、社員になっても、私服で好きな仕事をしていた。 もっとも、その分、いつも貧乏であったが・・・。
学生は、「学びながら生きる」と書く。 これは「知識」を学ぶのではない。 「知恵」を身につけるために学ぶのだ。 使えない知識など、おそるるに足りない。 私の考えでは、学歴など就職の足しにはならない。
以前、音楽製作の事務所に採用され、働いていた。 同時に30人ほど面接を受けていた。 そのとき、隣の年下の新卒らしい男は履歴書に「上智大学」とあり、 私は内心「ああ、こりゃだめだ・・。落とされるわ」と思ったものだ。 みんなが音楽の話をしていて、私は譜面も読めず、話が理解できなかった。 私の番になり、何の話をしたと思いますか・・??
私は音楽の会社で延々と「プロレス」の話をしたのである・・。 世間知らずとは、恐ろしい・・・。
10人ほどが採用され、私もその中に入っていた。 みんな、譜面も読めるし、音楽用語も詳しい中で、私だけ素人であった。 朝は10時に出勤し、レコーディングが始まると家に帰るのは、翌朝の7時ごろと言うタフな職場だった。
1年後、同期は全員退職し、残ったのは私一人である。 心のライバル「上智君」もやめてしまった。 上司に「なんで僕を雇った?」と聴いたことがある。
「それはお前がプロレスの話して、面白かったから。」 「それだけ??」 「そだよ」 「・・・・・・」
ちなみに3年間お世話になり、別の部門へと移ったが、音楽に関してもアレンジャ−の方たちに「あんな感じ」「こんな感じ」で、仕事はどうにかなったものだ。
もちろん、事務職などでは違う結果になったとは思う。 現在、私は一人で仕事をしている。 もし将来誰かを雇うなら、高学歴の者より、いろんなものを見て、いろんなことを感じてきたものを雇いたい。
人生とは全て必然である。 逢うべき人とは逢うべきときに逢う。 仕事もまたしかりだ。 どんな仕事を目指していたとしても、物の売り方・頭の下げ方・自分の経験に基く心のつかみ方と言うのは、必ず役立つ。 経験を超える資質や、学歴などは存在しない。
就職が決まらなくとも、いいチャンスと思い、いろんなものを見て、触って、食べて、感じることだ。
恐らく新卒の方は、私より数段上の知識を持っているに違いなく、頭もいいと思う。 しかし、今回はフリーター上がりのおじさんとして、意見させていただいた。 めげずに頑張っていただきたい!!
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