|
2005/01/09(日)
病室
|
|
|
近年、テレビで医師をモデルとしたドラマをよく見かける。 「白い巨塔」「ブラックジャックによろしく」「緊急病棟24時」 私は最近まで病院というものに無縁であったので、以前はまったく興味を持たなかった。
中学の頃、私の父は直腸ガンになり倒れた。 東京の高名な医大に入院していた。 母も脳腫瘍で入院を繰り返していた病院だ。
父の病室を訪ねに行き、同室の方たちにもおみあげを持って行ったりしていた。 ガン病棟というのは嫌なもので、うめき声が聞こえたり、以前話したことのある方のベットが空いていたりする。 同室に高校生くらいのお姉さんが入院していて、ケーキを持っていくとリンゴの皮をむいてご馳走してくれた。
「○○君は将来何になりたいの?」 「φ( ̄_ ̄;) うーん 考古学者!」 「一生懸命勉強して頑張ってね」
しばらくして病院に行くと、お姉さんのベットが空いていた。 亡くなったという。
生きていれば恐らく40代。 夫を持ち、子育ても落ち着き始める世代。
言葉に込められたものを理解したのは、大人になってからだ。 顔も覚えていない。病名も聞かなかった。どこから来たかも聞いていなかったと思う。 ただその会話と、リンゴをむく手つきはよく覚えている。
|
|
|