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2005/07/08(金)
執筆中エド頼小説抜粋文
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現在亀のペースで執筆中のキリリクエド頼小説の書き出しです。 内容はエド頼→頼勘(春勘)→エド頼で、最終的には性表現過多となります。 頼光の回想なので台詞が全て『』で括られています。タイトルはまだ未定。
『祭りへ行きましょう』
橙の夕陽が暮れ果て、空が宵闇に覆われた頃。 ふと脳裏を掠めた男の声に誘われ、頼光はバルコニーと室内とを阻む扉へと手をかけた。
『祭り?また随分唐突だね』 『そうでもないのですのねー。日本へ来て日本の祭りを知って少将殿にお逢いした時からずっと、一度二人で見てみたいと思っていたのですのね』
そう嬉しそうに話し笑っていた男の顔が脳裏を過る。 まだ自分が祭りへ一緒に行くとも言ってもいないのに、男はその顔にさも幸せそうな笑顔を一杯に浮かべていた。
『……いいよ、行ってあげても。たまには平民外道の興じ物で余暇を潰すのも悪くない』
嘘。またいつもの癖。 笑顔を讃える相手に対し、今の自分は内心を透明なオブラートのようなもので包み隠してポーカーフェイスを気取っている。本音は嬉しい筈なのに、それを素直に表現することが出来ない自分の愚かで浅はかなプライド。
しかし目の前の男はそれを知ってか知らずか、表情一つ変えぬ頼光の無愛想な返事に更に頬を緩めて笑みを増していた。
『先日ある方に聞いたのです。帝都の外れの山で盛大に行われる、神を崇める火祭りのことを。夜の闇に浮かぶ浄火、きっと綺麗なのでしょうねェ』
あの日エドワーズは頼光の佇むこの場所でそう話し、日暮れていく空を見て嬉しそうに笑っていた。 瞼を閉じて思い出すのは、彼の嬉しそうな笑顔だけ。 そうして彼はその日の夜、母国への一時帰国を果たす為に頼光の元を去り帰国の途に就いた。
祭りの前日には必ず戻るとの約束だけを残して…
To be continued..
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