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2009/11/18(水)
月の水
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2009年は水が月に存在することが証明された年として、多くの人々の心に刻まれることだろう。 ただし、その水がどこからもたらされたのかについては更なる研究が必要である。 2009年はじめ、NASAのルナー・リコナイサンス・オービタ(LRO)とインドの無人月探査機チャンドラヤーン1号は、 月に水が存在する可能性を示す証拠を発見した。 そしてついに11月、NASAはLCROSSによる衝突実験によりクレーターに存在する相当量の水を確認したと発表した。 では、月の水はどのようにして生まれたのか。 現時点では、月に水が誕生した経緯について、主に3つの仮説が提示されている。 根拠は薄弱だが無視はできない第4の仮説とあわせ、以下に紹介する。 ◆仮説1: 古代の火山が月面に水を押し上げた 地球の水と同じように、月の形成時から水は存在しており、月の誕生に必要な構成要素だったというのがこの理論の骨子だ。
この考えによれば、水は月の内部に凝集している。 LPIのスピューディス氏はこの仮説について、 「現在は“死んだ”とされている月に高温のコアが存在したはるか昔、 火山からの噴出物やガスが内部の水を徐々に月面へと押し上げ、その後ずっと凍結していたという理論だ」と説明している。
◆仮説2: 水は月面で“自家生成”された 月の水は、太陽からの作用によって生成されたと考える科学者もいる。
太陽は、太陽風と呼ばれる粒子を絶えず放出している。 太陽風に含まれる正電荷を帯びた水素イオンが月面に衝突すると、酸素を多く含む鉱物と相互作用を起こし、 その結果H2O(水)が生成されるという考えだ。
ブラウン大学のシュルツ氏によれば、太陽風による水の生成には長時間かかると考えられるが、 数十億年にわたって水分子が毎日少しずつでも生成・蓄積されていけばかなりの量になるという。
◆仮説3: 彗星や小惑星によって月に水が運ばれた はるか昔、水分を含んだ彗星や小惑星が月に衝突して水がもたらされたとの説もある。
この場合、大部分の水は宇宙空間に放出されたと考えられるが、一部の不活発な分子は月の重力に捉えられた可能性がある。 スピューディス氏は、「水分を含む彗星や小惑星が月に衝突して表面付近に水蒸気雲が生まれた、 というのがこの理論の考えだ」と話す。 一部の水は最終的に両極地域に移動し、太陽光が常に届かない両極付近のクレーターなど、 極寒が永遠に続くコールド・トラップ領域で凍結した可能性があるという。 コールド・トラップ領域に留まった氷は、温度が低すぎるために昇華せず気体に変化しない。 さらに、空気が存在しない月では水は液体の状態を保てない。 とすれば理論上は、水は永遠に凍結したままということになる。
◆仮説4: 月の水は地球からもたらされた 「地球上の水が月に到達し得たシナリオは2通りある。 そのどちらのタイミングも、はるか古代に地球と月が現在よりもずっと接近していたときだけだ」 とブラウン大学のシュルツ氏は話す。
1つ目は、地球に磁場が存在しないか微弱だった先史時代に、太陽風が地球の大気から水蒸気を奪い、 その水蒸気が月へと送られたというものだ。 もう1つは、巨大な小惑星や彗星が地球に衝突し、海水が宇宙空間に放出されたというシナリオだ。 宇宙に漂う水蒸気雲内を通過したことで、月が水分を得たと考えられるという。
どちらのシナリオも理論上は可能だが、裏付けるものは何もないとシュルツ氏は言う。 「だが月における水の存在も、数日前までは仮説に過ぎなかったという事実を忘れてはならないだろう」。
※ナショナルジオグラフィックニュースから抜粋。 http://www.nationalgeographic.co.jp/
いや〜、月に水があるなんてビックリです。 こういうニュースは心が躍りますね!
Photograph by Alessandro Della Bella, Keystone via AP
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