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2004/01/29(木)
ロボットの心
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昨日の話である。
手術が無事成功した昨日の夜、私は退社後、急いで母の病室へ向かった。
手術後の経過が心配だったのと、その日は母から連絡を取ることが出来なかったため、 面会時間を20分ほど過ぎていたことを承知で来たのだった。
ナースステーション入り口で面会者名簿に名前を記入していたとき、一人の看護婦さんが私を呼び止めた。
「失礼ですが面会ですか?」と訊いてきたので「はい。」と答えた。
ただ、そのときの彼女は『面会時間が過ぎてるからご遠慮くださいオーラ』出まくりだったので(苦笑) その言葉が発せられる前に、
「面会時間が20時までだということは知っています。ですが今日の午前中、会社を休んで 手術の付き添いをしていたので、さすがに早退するわけにはいかず、この時間になってしまったのです。」 (ちなみに20時までが私の通常勤務時間)
と言い、母の病室へ行こうとしたら、 「明日になれば患者さん自身で移動できますから、その後、談話室などで面会してください。」 と言ってきた。
「手術直後で母からは連絡も取れない状態だったので、様子を見にきたのですが それでもダメなんですか?家族でもダメなんですか?」と言うと、
「いちおう面会時間は20時まで、というのが決まりなので。」と彼女は言った。
で、私はすかさず「消灯時間は21時ですから静かにしていれば迷惑にはならないと思うんですが・・・」 とややムッとしながら訊いてみた。
すると「団体部屋で他の患者さんもいますので・・・」ときた。はぁ〜・・・。
「昨日も同じ時間に面会に来たし、昨年父が4Fに入院していたときを含めて『一度も』 そのようなことは言われませんでしたが。」と言うと、
「当時と今は状況が違いますから。」とのたまった。
あきれ返って「あなたがどうしてもダメというならもう、結構です(怒)!」というと、 「短時間なら」としぶしぶ答えたのであった。
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私はこのやりとりの途中で(看護婦さんをしている)かおるさんのHPに載っている 『ドクターとロボットとマリア様』という話を思い出した。
それは「あなたはドクターとロボットとマリア様のどれになりたい?」という話から始まる。
『ドクター』は仕事をテキパキして、リーダーシップも取れるが、ベッドサイドまで ほとんど行かないので患者さん一人一人の様子(=気持ち)までは分からない。
『ロボット』はドクターの言われたことをするだけなので、 患者さんの予想外の行動などに対処できない。
そして『マリア様』は優しいけど、禁食・禁水の指示が出ている患者さんに 「食べ物や飲み物が欲しい」と言われれば断りきれずに与えてしまう(=病気が治らない)。
それらのすべてを備えれば理想の看護婦さんになれるのだが、人の性分は簡単には変えられない。 だからお互いの欠点を補うように、『ドクター』と『ロボット』と『マリア様』を組み合わせた 『チーム』で良い病棟を造る、という話だったと思う。
昨日、応対した看護婦さんを見ていると杓子定規な答えで、 まるで上記の『ロボット』と話しているかのようだった。
私が初めて360号室を訪れたときに感じた『特別な気持ち』はどんなに話しても あなたには分からないでしょう。
確かに手術は無事終了したけど、予定時間より1時間半もオーバーしていたので、 「大丈夫だ」と言われても一抹の不安があったことも・・・
そして何よりつい2ヶ月前まで、父がこの病棟で家族とともに戦い続けた日々や そのときに経験した数々の出来事も・・・
何を言っても『ロボットの心』しか持たないあなたには分からないでしょう・・・
あなたは患者さんたちを『看て』『護る』のが仕事ではないのですか? 『人間への看護』ではなく『人体への処置』をしてはいませんか?
患者さんとその家族の『気持ち』をもう少し理解して下さい。 目に見える傷だけでなく、目に映らない『心』のケアにも気を配ってください。
心に負った傷は簡単に治すことはできないのだから・・・
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