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2004/02/08(日)
O先生
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昨日、母から「知人から訊いたあるドキュメンタリー番組の放送があるからビデオを録っておいて。」と言われた。
食事をとりながら改めて放送を見たのだが、映像を見た瞬間、箸が止まり、目が釘づけになった。
「こ、これは・・・!」
なんと父が昨年、そして今年に母が入院していたS病院の映像が映し出されていた。 そして、その病院の『ある医師』が紹介された。
「あっ!」・・・さらに目が釘づけになった。 ある医師とは『O先生』のことであった。
O先生は父の主治医ではなかったが、父の入院中に何度か言葉を交わしたことがあった。 そしてこの先生が外科医だったことをその番組で初めて知った。
そういえば・・・昨年、父の付き添いで病院に行ったある日、何人かのテレビクルーが 4北ナースステーションで撮影の準備をしていたことを思い出した。
当時の私は父のことで頭が一杯で、特に思うところはなかったのだが、 今映し出されている映像は紛れもなく当時のものであろう・・・
番組が進むと、見覚えのある看護師さんたちが(一瞬ではあったが)確かに映っていた。 もちろん父がいた、あの病室も・・・
私の頭の中に残っていた当時の記憶の断片が、一つずつ繋がってゆく・・・
確か、父が個室に移って間もないときの話である。
個室に移った父のそばに付き添うと決心はしたが、当然その時間は会社に居ることはできない。 そこで、少しでも会社の仕事ができるように、病室内に自分のノートパソコンを持ち込めないかの 相談をするため、ナースステーションに行って、居合わせた看護師さんに訊いてみたのだが、
「うーん、私では判断できないので、申し訳ありませんが先生に聞いてみてください。」と言われた。
ただ、主治医のA先生は猛烈に忙しい方で、ムンテラなど事前の約束がないといつ逢えるか分からなかった。
そのとき、ちょうどそこに居合わせたのがO先生であった。
早速、O先生に訊いてみた。
「先生、病室内にパソコンを持ち込んでもよろしいでしょうか?もちろん(携帯電話などで) 外部にアクセスするようなことはしません。ただ、仕事などのデータを打ち込むために使いたいのですが。」
O先生は「うーん、多分大丈夫だとは思いますが、一応、主治医の先生に訊いたほうが間違いないですね。」
と、すまなそうに答えてくれた。
「・・・そうですよね。やっぱり担当の先生を探して訊いてみます。」
その日の夜、運良くA先生が4北に姿を見せたので、ダッシュで(苦笑)先生の所に行って許可をもらったのであった。 (もちろん、OKでした・・・^^)
当時、私はO先生がどこの所属の先生だとかは全く知らず、ただ同じ先生だから、 というだけでいきなり質問をしたのであった。
そのときのO先生は大変穏やかで、白衣を着ていなければとても医師には見えない(良い意味で) そんな印象であった。
その先生が今、テレビに映し出されている。
穏やかな話し方は当時と全く変わらなかった。
O先生は終末医療にかかわる医師で、終末期の患者さんの意見を尊重し、そして耳を傾け、いかに患者さんが 精神的な苦痛のない最期を迎えられるかを第一に考えてくれる先生である、と番組で紹介されていた。
この考え方は父の主治医であったA先生と全く同じものであった。 この病院で在宅看護に理解があるのはA先生や(担当看護師さんだった)Rさんだけではなかったのだ。
私は番組を見て、そのことに深い感動を覚えた。
良い病院というのは規模の大きさや設備で決まるわけではない。
やはり良い先生や看護師さんなどの医療スタッフが揃うところなのだ、と。
父がこの病院に入院していた当時のことを思い出しながら、あらためてそう思った。
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