|
2004/05/05(水)
言葉
|
|
|
遠い昔、誰よりも信頼していた人がいた。
『この人を信じていけばきっと大丈夫』
そう思える存在の人だった。
私はその人のことをずっと信じていた。 だから自分がどんなに厳しい状況に追い込まれても、頑張りぬくことができた。 その人の期待に答えられたことが自分にとっても嬉しいことだったし、励みにもなっていた。
だが、ある日突然その人が私に言った『たった一言の言葉』がそれらのすべてを変えてしまった。 誰よりも信頼していた人から投げかけられた、たった一言の言葉が・・・
その日から私は何を信じて生きていけば良いのか分からなくなった。 どうして行けば良いのかが分からなくなった。 それまでの自分を、そして自分の存在価値を否定されたような気がしてすべてのことがもう、どうでもよくなってしまった。
後になって「済まなかった」とその人は言った。
今になって思えば、その人にとっては思わず言ってしまった、何気ない一言だったのかもしれない。 だが、何気ない言葉にこそ、人の本音が見え隠れしているのだ。 少なくともそのときの私にはそう感じられた。
そしてその言葉は、私の人生観を変える一言になっていった。
言葉は、人と人とのコミュニケーションをとるのに欠かせないものだ。 だが、使い方を誤ると人の心を傷つける凶器にもなりうるものだ。
体の傷は治療をすればほとんどが元通りになる。 だが、心の傷はそうはいかない。 たった一言の言葉が、その人の心の中をズタズタにしてしまうこともあるのだから。
今になってあらためて思う。 一言の言葉の重みの意味、というものを・・・ たとえそれがたった一言の言葉であったとしても・・・
私の心の奥深くに突き刺さったままのその言葉が、今も時々私にそう問いかけてくる。
|
|
|