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2004/07/15(木)
父の筆跡
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今日、会社の車輌整備状況を確認するため、父が昨年まで書きとめていた資料を久しぶりに見た。 色々なことが記されていたが、良く見ると日が経つにつれて父の筆跡が微妙に乱れていくことが分かる。
「痛い」とか「疲れた」などの言葉は決して口にはしなかったが、これを見ていると体調の変化が良く分かる。 そしてその筆跡は7月の第2週を最後に途切れていた。
父が会社に出られなくなったのは、ちょうど昨年の今ごろだった。
今になって思えば、肝癌のために急速に体調が悪化していたはずだが、 当時の私は自分のことばかり考えていて、そんな父の体調の変化には全く気付かなかった。
会社を休み始めてから数日後、父が突然、私にこう言った。
「もし、俺がいなくなったら家のことは全部おまえがしなくちゃいけないんだから、少しは覚えておくんだぞ。」
「何を馬鹿なこと言ってんだよ。まだまだお父さんには頑張ってもらわなくっちゃいけないんだから。」
そんな父の言葉を、当時の私はそう言って聞き流してしまっていた。
翌月、入院した父がそのわずか2ヵ月後に旅立ってしまうなどとは夢にも思わずに・・・
なぜあの時、もっときちんと話を聞いてあげられなかったのか? そしてもっと早く他の病院に連れて行ってあげられなかったのか?
聞きたいことは山ほどあった。 教えて欲しいこともたくさんあった。
だが、もうそれらは永遠に叶わぬ夢となってしまった・・・
当時の父はいったい何を思っていたのだろうか? 仏壇の前で手を合わせながら父にそう問い掛けた。
あれからもう1年・・・
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