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2004/07/23(金)
心の糸
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先日、今の私にとって一番大切な人のところへ会いにいった。
「何故会いたいの?」と彼女は言った。
だけど会いたいのに理由なんてなかった。
「ただ会いたいから」それだけ・・・
いや、正直に言おう。
「もし今日会わなかったら、自分が壊れてしまう・・・」と心が訴えたから。
待ち合わせの場所で彼女を車に乗せて、ある街へと向かった。 そこでショッピングを済ませたあとで、少し早めの食事をとることにした。
このあたりの地理は彼女のほうが詳しいこともあって、お店の選択は彼女に任せた。 いくつかの候補の中で彼女が選んだのは、隠れ家的な洋食屋だった。 階段を上り中に入ると、アンティークな雰囲気が漂っていた。
たくさんのメニューがあったが「これが一番おいしいんだよ!」と言って彼女が選んだものは オムライスとコロッケ、そしてグラタンだった。
出てきたオムライスはふんわりとした卵が口の中でとろけるようで、ケチャップ味のライスとのハーモニーが絶品だった。 コロッケもクリームベースのまろやかな味で、これもすごく美味しかった。 もちろんグラタンも・・・。
洋食屋を出て、しばし街を歩く。 この日はとても蒸し暑くて肌に心地良い風、という感じではなかったので、近くの珈琲店へ入ることにした。
中に入ると、静かで落ち着いた佇まいだった。 そこで、色々なことを語り合った。 取り留めのない話や友人の話、そして人生の話など・・・。
具体的にどんな話をしたのかは、ここでは言えないが、 「今日、ここに来て本当に良かった」と思える話をした、とだけ言っておこう。
珈琲店を出ると辺りはかなり暗くなっていた。
ここから歩いていける距離に彼女のお気に入りの店がある、というのでそこへ向かった。 だが、残念ながらその店のシャッターは閉まっていた。
どうやら休日は営業していないようだった。 「ここはどうしても連れて行きたかったんだけど。」と言っていたが、休みでは仕方がない・・・
「この後どうする?」と言ったので私は「夜景が見たい」と答えた。
「じゃあ、夜景の良く見えるところまで案内してあげる。」 と言ったので、そこから夜景の見える山へと車を走らせた。
一時間くらい走っただろうか。
夜景の良く見える場所へ着いたが、あたりは人と車で一杯だった。 また、彼女のお勧めの場所はそこではなかったようなので、すぐに別の場所を探した。
だが、目指す場所はなかなか見つからない。
そうしてあちこち探し続けているうちに、山を下り切ってしまった。
「夜景、見そこなっちゃったね。ごめんね。」 「気にしないでいいよ。木々の切れ間に覗く夜景が見れたからそれで十分だよ。」
とその時、彼女が「お腹が痛い」と言ってきた。
睡眠不足のところを無理に会ってもらったので、疲れが出たようだった。 自分のことばかり考えていて、彼女に配慮できなかったことが恥ずかしくなった。
すぐさま彼女を自宅まで送り届け、そして別れた。
帰りに車を飛ばしながらあらためて考えた。
果たしてこれで良かったのだろうか? 自分の選択は間違ってはいなかったのだろうか?
たくさんの疑問が頭の中を駆け巡ってゆく・・・
後悔はしていない。 だって自分自身で決断したことだから。
例えそれが間違ったことだとしても・・・
だけど彼女のことを考えると、何ともいえない気持ちになった。 結局、独りよがりの身勝手な行動だったじゃないか、と・・・
色んな感情が入り交ざって、心の糸が切れてしまいそうになった。
そう思ったとき、彼女からのメールが届いた。
文面の最後には 「楽しかったです。」と書いてあった。
それを見た瞬間、心の糸が強くなった気がした。
気持ち一つで強くなったり切れそうになったりする、心の糸。 不安定だけど今の自分にとってなくてはならない、そんな揺れ動く心の糸。
どうすればもっと強くなれるんだろう。 どうすればもっと優しくなれるんだろう。
どうすれば・・・
考えれば考えるほど、答えは出てこない・・・
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