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2008/02/09(土)
残ったもみじの木
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土曜日の午後。仕事が休みだったので何となくテレビをつけて見ていました。NHKで放送していた『秩父山中 花のあとさき ムツばあさんの秋』というドキュメンタリー。 秩父の本当に山の中。ムツばあさんは夫と一緒に、先祖代々耕してきた畑に、たくさんの花やもみじを植えてきました。「使えなくなった畑を放っておくのは申し訳ない。せめて花を植えて山に還したい」と。 しかし一昨年の秋に夫が死去。介護期間中放っておかざるを得なかった花畑を、老体に鞭打つように手入れするムツさん。長期取材のカメラは、その老いを克明に映しだします。山での生活は厳しいです。本人からも、弱気な言葉が度々こぼれます。それでも、山のことを語るとたちまち饒舌になり、ほんとに山の事が好きなんだと感じさせられます。 昨年の冬は、一時的に息子夫婦の所で過ごしたムツさん、「上げ膳据え膳でものぐさ病になってしまった(笑)」と早々に山に戻ってきます。そして、山の手入れに再びいそしむ日々を送るのですが…。 ある日、カメラはムツさんの家を訪れるが、そこにムツさんはいない。山で倒れていたところを郵便局員に発見され、入院したとのこと。脳梗塞で、もう以前のようには戻らないだろうとの住民の話。夫婦で植えた、赤く色づくもみじを映し、番組は終わります。
なんだか、見終わった後に、何とも言えないぽっかり穴が開いたような、寂しい気持ちになりました。最近、明るく賑やかな番組ばかりが主流になってるからかも知れませんが、思えば昔のNHKって、子ども心にどこか寂しい番組が多かったような気がします。小さい頃祖母と見たNHKの空気を思い出しました。 「最近、ムツさんは病院の庭の花をいつも見に行っています」との最後のナレーション。どんな思いで花を見つめているのでしょうか。
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