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2004/05/13(木)
英雄と主題
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14日づけの日記の続きです。 *************************** だから必ずしも、「愛」「「勇気」「友情」なんてスローガンが映像作品に必要なわけないし、テーマが道徳的である必要なんて全然ないと思います。 ただ広く子供が見るTV番組にあっては、価値観が一面的であってはいけないと同時に、子供の狭い視野で歪んだ価値観に捉えられてしまう危険のある要素を盛り込んだまま、大人に対してと同じように、視聴者の判断に丸投げしてしまうのは良くないなって思います。 「子供はミニサイズの大人ではない」とよく小児専門医は言いますが、それを念頭においた子供の発達に配慮した番組なのかどうか、って最近ちょっと心配になったり(汗)。 私はもともとヒーローものや戦争アニメが好きなので(最近はファンタジーが好きですが)、正義なんて相対的なものなんだから何をしても悪くないんだ、とか、暴力は絶対で最後は力の強い者が勝つ、退廃的に生きるのがかっこいい、なんて、視野の狭い少年少女が利己的に生きる詭弁に使われるようでは残念だなって思う方なんです。ある程度価値観がしっかりしてからなら、何を見てもいいと思うんですがね。 例えば仮面ライダーですが、お決まりの正義の味方勧善懲悪に飽き、より刺激を求める人をターゲットにしてるのか、お決まりの正義のヒーローを楽しみたい人をターゲットにしてるのか、はっきりしないのでは、小さい子供と見るのに多少不安があるのですよ。 もちろん、基本的に子供達にこれを伝えたいという作り手のポリシーがあれば、多少過激でも難解でも(その年齢ではわからなくても) 斬新でもいいと思うんですがね。(極端に卑猥な描写残酷表現、暴力差別肯定表現は論外ですが) 人々の幸福を脅かす者にもそれなりの理由や価値観があるという側面にスポットをあてつつ、他人を傷つけることは悪いことだよ、自分がしてほしくないことは他人にしてはいけないよ、という思いやりを持って、互いを助け合う社会を築くことは大事だよ、とか、 不正を見て見ぬふりしないことには勇気がいって大変だけど偉いな、と、言外にもプラスの方向性がさりげなく感じられる番組に、小さいうちは多く触れて欲しいなって思います。 またその主題が、より多くの人の共感を呼ぶものであって欲しいなって思います。
「銀河英雄伝説」(むしさん、まだ必死に読んでますよ、汗)、正義のヒーロー嫌いで信念のための戦いをうさんくさいと思うヤンウェンリィから見れば、正義を振りかざしたルドルフは「悪い奴」だし、狂信的地球教は「悪」でしたね(笑)。 ヤンは、よりベターな道を、より犠牲者を出さない善良な道を、身近な人が幸せになるために周囲とのバランスを常に考えて行動する典型的ヒーローですよ(笑) ラインハルトという豪腕の英雄は死すが、その次世代の赤ん坊がまるでその未来を掴もうとするがごとく星々へと手を伸ばすラストシーンはまさしく、宇宙において小さな存在である人間の歴史を祝福されたようなオチで感動的でした。こういう作品がその名のごとく英雄ものなのかも(笑)。
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