プレハブの居間
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2004/06/06(日) 正しい価値観を伝えるもの
カテゴリーA写真集の感想、田園にアップしました。私も何やってるんだかって感じですが・・・こういうのを眺めるのも良い気分転換になります。
下の裏表紙の写真、竹財さん、ブレイドとすごく絵になってますよね。綺麗ですよ。若い柔軟な魂を感じます。
虎太郎だけでは見いだせない、奥の深さを感じさせますね。
その方のコメント中で感じたことですが。
「正義は主観」「信じられることが正義」「正義は観ている人の数だけある」「この番組の正義を100%信じちゃいけない」・・・・うーん。
そういうものですか、、、若い彼が個人でそういう結論に達したのか、刷り込まれた価値観なのか、そこはわかりませんが、一人の母親として、番組の先行きに不安を覚える発言だなとヒヤリとしました。
描く側が信念を持って、これを子供達に伝えたいという理想がぼやけてるのかなとか、多くの人に共感を得られるテーマの作品です!と胸張って言えないのかな、、、そういうことではないと思いますけど、ちょっと、心配になったりします。

というのはね。。。。私見ですが。
「正義」とは個人的な願望ではなく大きな社会的な理想で、個人の価値観と混同してはいけないのではないかと思うのです。
リュウキに確かに正義はありません。あれはエゴイズムの陰影がテーマだと思いますが。
あれを「真実は一つだが正義はたくさんある。個人の信条は多様で、それを<悪>とは言えない」、というテーマと捉えると、人殺しに正義の勲章を与える番組になってしまいますな。
(もっとも私は映画と、TVの最終回前後数話観ただけなので理解不足かもしれませんが。ただレンについては、彼は臓器移植問題で知識人にやり玉にあげられたエゴイスト像そのものでした。なのですごく複雑でした;もちろん、ああいう作品があっていいと思います。ただ、少なくとも私は子供と一緒に観るつもりは今後もありません。)
勝者レンは悪ではないけれど、決して正義ではありません。あれを観る限り、人間のエゴイズムの悲しさです。生きるためになら(愛する人を生かすためには)他人をも犠牲にするという人間の悲しい業、芥川の「羅生門」と同じです。(アニメ伝説巨神イデオンはエゴと大儀の関係を掘り下げた傑作だったなあ。。。。)
けれど、他人を犠牲にしても自分さえ生き残ればいいというバトルロワイヤルの愚かしさに気づいてやめる叡智があるから、人類は地上で繁栄を共有できるんです。(ブレイドの根っこはそこだと思ってますがね)

正義とは、より多くの人の幸福を実現するために目指す社会的理念なのでは?個人個人の願望をより多く実現できて、犠牲を極力少なくするために掲げられた理念のことだと私は思うんです。
逆に「悪」は、多くの人を不幸にし、個人の夢をつぶし、多くを犠牲にすることですよね。多くの人々を不幸にする「悪」に対抗して、「正義」は絶対的に存在するんです。
歴史において、幸福を実現できない状況下の「悪」に対抗し、人々がより多くの幸福実現するための理念を「正義」と言うのであって、その場面を歴史的に俯瞰した時、人間にとって「悪」に対抗する理念=正義は一つだと思います。その理念に向かって個人的事情を超越して社会の幸福に尽力をするのが、正義の味方だと思うんですが。
それはあなたにとっての正義でしょ、正義は人によって違うのだよ、という正義と価値観をすり替えた論理は、どこか退廃的だと思います。
麻原と仏陀を同じレベルでは語れないのと同じように、ヒットラーと杉浦千畝、双方正義だったと言うことに抵抗なくなったら、社会は幸福を守る者も壊す者も同列になってしまいます。
例えばオウムと坂本弁護士、どっちにも正義があった、どっちも悪ではなかったと、言うのかと?
人間が社会を築くにおいて、最低限のルールモラルは維持されなければなりません。
特に子供には最低限、人として大事なこと、そしてやってはいけないこと、自分がして欲しくないことは他人にしてはいけないと明確に教え、価値観を刷り込まなければいけません。盗む、奪う、傷つける、殺す、そういうことをやってはいけないのは、多くの人々が安全に暮らすために絶対必要なことなのです。そういう基本のモラルを否定するような番組なら、日曜朝ファミリー番組としてふさわしくないです。

大人はその時代において、「正しい」と確信する価値観を子供に伝えるのが教育であり、それが文化の伝承であり、人間が人間たるゆえんなのです。大人が何が正しいかわからないからと、何も次世代に教えないのは大人の責任を放棄してるようなものです。
自己満足の人殺しも、他人のために尽くす善行も、同じだからどっちも大差ないというなら、我々社会はとっくに崩壊していますよ。
仮面ライダーは「悪」は悪!命を奪うものは悪い!!それに対抗し命を救うものが「正義」!ときちんと子供に見せることに、躊躇するような番組でないことを祈ります。
正義のヒーローを描く側は、ゆるぎない価値観をしっかり持って、正義の本質を描いて欲しいと願っています。


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