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2008/03/25(火)
さらば寺澤
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今回の公演は寺澤哲引退興行であった。無理して3月にした理由の一つであることは間違いない。
寺澤君は、照明家としてとても優秀です。本当に顔が広い。いろいろな所で活躍していました。内閣しか見ていない人は、あの照明は普通だと思ってるかもしれないが、あんなすごい派手な照明を使っている劇団はなかなかありません。まともな業者に頼んだら300万はかかります。それを友達だからって6万くらいでやってもらっているのです。
なぜ、そんなことができるかというと彼は貯金をはたいて機材を仕入れた際に、もってる間の貸し出しと引退する際に売り払えば回収できると踏んで投資として高い機材を買いまくったことです。実に頭がいいですね。彼は多方面から、引退を惜しまれていますが、はなから引退せず続けるつもりであればこのような投資が出来ないのだから、この道はやむをえないのです。
おそらく、彼は続けたとしても自分一人食えるくらいの腕はあります。これは演劇にかかわる人間としてはかなりすごいことです。しかし、彼は演劇人にしては非常に非常に珍しく結婚願望が強いので堅気に戻るようです。
さらに、DOSで出会っての長年の友人として桃鉄をしたり、実家を合宿所にさせてもらったり、楽しかった彼の引退公演は絶対うちの現場にしたかった。てことで、今回は彼がしたいことを全部やらすつもりでした。その結果は「試合までしたい」であった。
オペでありながら(おかげで試合中の代理のオペさんまで用意した)、途中で一試合するというのは前代未聞だが、練習でも問題なしとみて参戦させた。設定は、悪の組織に洗脳されてその手先となったため、正義側は哲を倒せば照明オペがいなくなり大会が続けられない、哲に負ければ終わりというしょうもない設定である。
で、やつはうまかった。フランケンシュタイナーは本当にきれいだった。別に普通の選手がフランケンがうまくてもどおってことはないのだが、照明オペが奇麗だというのはそれだけでうけた
さらにせっかくならともっと笑いのネタを増やすことにした。試合の決着、哲の洗脳を説くシーンだ。ここで、哲に縁のある人たちからのビデオレターを流すことにしたのだ。
私はこの時期はよく学生劇団の卒業公演を見に行くが、よくカーテンコールで後輩が卒業生に花束をあげたりすることが多い。私はそれを見たら微笑ましくはなるが、でもよくないことだと思う。カーテンコールは、お客様への感謝のためにあるのであって自分たちが満足するためのものではない。お客さんの前で先輩を祝福してあげたいというのは、演じ手の都合であって、みんなが私みたいに微笑ましくなるならいいけど、中には早く帰りたい人や、冷めちゃう人もいるかもしれないからだ。
で、私はそういったことへのアンチーゼというかあえて逆手に取ったギャグとして引退セレモニーを劇中でやるというのが面白いんじゃないかと思ったんですね。で、ビデオレター。これはうけた。百発百中。寺澤は有名人で、おそらく見に来た人の半分以上は知ってるだろうが、知らない人まで受けるかは心配なある意味最強の身内ネタだったが、知らない人にも受けてよかった。ビデオレターは、劇団衛星代表蓮行氏ら大物や、ヤルキメデス代表ナカノ実験室氏、照明を手伝った大学の音楽系団体の後輩、紀伊田辺からわざわざ来てくれた高校時代の友人。そしてお母さんとお客さんを驚かすには十分なラインナップ・
さらに調子こいて楽日は、哲に内緒で実の妹さんに来てもらって用意した花束を渡すというサプライズ(段取りが関係する人以外、その場にいるほとんどの役者にも教えていない)で、爆笑の渦。あらためてひどい芝居だと思う
彼が芝居をやめるのは非常に痛手です。寺澤さんほどの、腕をもった照明家はいます。いますが、内閣で手をだせる値段ではありません。内閣が手を出せる照明家ではクオリティがおちます。なによりも、彼のように途中でオペをしながらプロレスまでして、実のお母さんがビデオレターを送って、妹が花束を私に来てくれる人は絶対いません。Lマガで、内閣の隣のページに紹介されていた音響王子の児島さんという方ならしてくれるかもしれませんが(面識ないうえ、そんな実力のある音響さんは雇うお金ないけど)。
今回彼は最後ということでチケットも一杯売ってくれました。私は代表者だもの47枚売ったから当然1位ですが、彼も30枚は呼んでるので2位です。てかほかの役者は誰一人かなってません。本当にありがたい話です。そんな彼に拍手を。今までありがとう
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