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2010/03/29(月)
呪縛を解いた
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ちょうど、ひと月前の今日が札幌の打ち上げだった。声が出ない以外、人生で一番幸せだった時間かもしれぬ。2年ぶりに、公演が終わったあとに次回公演が具体的に決まってないのと、今している芝居に関係ないことがすこぶる面白くないので、終わって2週間グダグダ思い出に浸っているが、とりあえず今日で区切りにしとくか。今後の内閣や次回公演を今回の成果とからめた日記は今後も書くけどさ
作家としてどの作品も可愛いが、今回の「THE SCHOOL OF THE RINGS」は特に可愛い。プロレスとただしたいことを詰めまくった亀岡シリーズと違い(だから亀岡は私の好みという点では上。でも、演出家としてすごぶる不満足)、はじめてプロレスと芝居を融合させるために破綻しないストーリーを書くという目標をもとに書いた本だし、高校演劇という自分の人生でウェイトをしめるものをテーマにしているのもある。だから、夢だった北海道凱旋では迷うことなくこれを持っていくと決めた。
プロレス部分のうち、ネタ試合は口出ししたが、ガチ試合に関してはもう私の手を離れている、脚本部分にかかわるキャラ設定、入場曲などは私も話しに参加するが、技の中身なんかは最初にに方針を伝えたら「安全にやってね」だけ言っておけば、勝手に技がきまりいい試合が出来ているシステムを作れた。 前回不満だった、私が得意な群像劇(というか、全員に見せ場をつくってあげないと可哀想という変な仏心)になってない点や、劇中劇と本編がリンクしてなさすぎといった点に、脚本参謀に末山と激論をして改稿した本はどっからどう見ても今回のが良い、もちろん減退した部分がないわけではないが、それはほぼ延命さん、キャッツ、肥後橋、どす恋の個人技だ。この4人がいない以上本ではどうしようもないし、そのマイナスを含んでも今回のが面白いと言える。まの、ちっくの改稿と大下、ごなえ、ジェシーの個人技で十分補えたと思う。
また、舞台を京都から北海道に変えたのは、ほとんど私のエゴだ。北海道ネタ(というか札幌市民や日高管内の人すらわからん南空知ネタも多い、映像オペの阿部君は最初脚本を読んで「南空知ストライクすぎる、大丈夫なんですか」と言ってた)は受けるという勝算もあったが、役者には不安な思いもさせたと思う。しかし、結果は大受けだったし、京都でもわからないなりにそれなりに受けるという成果は出した。前も書いたが、「ガス漏れ断水北見」てだけで受けるのは衝撃受けた。みんな「自分は意味が分かってないのに客席が受ける、英語を喋ってうけてる気分」といってた。列挙するだけで 外人は小樽の尖塔に入るな 木の城たいせつ ロシアに拿捕される 王子製紙 白い恋人 市長がパンツ一丁で漫才 三井グリーンランド 西友が潰れた サンパレス 栗沢のいちごは栗沢一 岩見沢駅火事 十勝のアル中 農業しても芝居はうまくならない発言(富良野塾に喧嘩うる) 豚肉入り牛肉いりコロッケ 函館クサール高校
など、くだらないネタ満載。たぶん、札幌にもこんなに地元ネタつかってるところはあるまい。札幌の劇団がこれをいっても面白くない、京都がやってるから面白いとも言える。また、役者も味締めて、北海道新聞や地元テレビをみてネタ仕入れて、受付の子に鉄板かどうかを確認し、「どさんこワイドネタ」などのアドリブをかましていった。そういう油断も隙もない奴らに恵まれているのが内閣の良いところだ。
で、感想ブログにいただいた、感想を色々見た。厳しい意見もいただいたし、喜んでももらえた。
で、うちの先輩のブログにあった「高校時代一度も地区予選を突破出来なかったのがそんなに悔しかったのかがにじみ出てる」というのがあった。確かに、悔しいて思いをこめて書いていたと思う。が、この作品を作って言えるのは、超絶ダメ男なのに人手不足で部長な小渕部長はまさに私の投影だが、小渕君は地区予選突破のためにプロレス芝居を提案し、それを行動に移し、さらに「自分が試合をするよりレフェリーに回った方がいい作品になる」という判断を受け入れた。私が23歳になってようやく出来たことを高3になって出来ているのだから、彼が率いる美唄水産が突破出来て、私が出来なかったのはむべなるかなである。
なによりしたい作品が出来なくて、消化不良だった。見に来てくれた後輩に言われたが、「ようやく響さんがやりたいもんは見れた、高校演劇とは相性悪かからくすぶってたんだね」と言われた。まあ、そうだろう。だからといって、私以外に本を書く人がいなくて好き勝手やれる学校に行ってればよかったのかと言えればそうでもない。当時は出来ないことが多すぎたし。その3年間と、大学の劇団に所属した3年間があって内閣を立ち上げられたし、内閣での5年があって、今回この作品まで作れた。
その後輩とは、現役時代はあんま仲良くなかったのだけど、今回見に来てくれてすごく色々な話しが出来て、今公演嬉しかったこといっぱいあるが、この一点がすごく嬉しかったのですよ。大学時代の各大学合同公演が楽しかったとか、紫時代の思い出とか内閣の今までの芝居の良いこと悪いこととか、とっくに乗り越えて活動してたのに、最初の最初の高校演劇にへんな執着があったのが今回吹っ切れた。そもそも、すでに頭では、「ああ、なんて恥ずかしい3年間だったんだ、黒歴史とかまでは言わんがあれじゃ突破どころか芝居暦11年ですとかはとても言えん」とか「でもまあ、迷惑かけた人に謝りたいけど、戻ってやり直したいとまでは思わん、経験は経験でいいものは学んだし」とか思ってんだし、みょうに執着した生で悪影響が会ったわけじゃないから呪縛もクソもないのだが、そんなこと考えるだけで捜索に当たっては時間の無駄といえば無駄。ただのいい思い出として、へんな執着をしないですむようになった。それが今回の最大の収穫であった。おしまい。
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