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2010/04/27(火) 読書感想文

 私は、本中毒だが、読むのはおもにノンフィクションで小説は少なめなのだが、勤め先のバーで演劇好きなお客さんから「ぜひ読んでみて」とプレゼントしていただけたので、久々に読んでみた。有川浩氏の「シアター」という小説だ。あと、てつさんも札幌でバス移動中読んでたし

 有川さんはすでに毎回ではないけど、アニメで断片的に図書館戦争を見ていて、これがまた私の今関わっている表現の自由を守り、検閲に対抗する作品であるのだけれども今日は触れない。

 300P超あるがあっという間に読めた。すごーく簡単にあらすじをまとめると、今まで赤字を補填してくれてた制作に逃げられ返済を求められた劇団の主宰が兄に泣きついて金を貸してもらう代わりに、2年以内に劇団収入で返済しないと解散しろといわれて、その兄が劇団経営改善に乗り出していくうちにのめりこんでいくという話しだ。

 悔しいが、私が今までして来た小劇場への鬱積ダメ出し、一般人にどうしても理解してもらえない「何故金にならないことを真剣にしているのか」ということを伝える手段として、直接言うよりこれを読んでくれて渡した方が早いからだ。私が先に書きたかったし、部外者に3ヶ月の取材(で書き上げたそうです)で見抜かれてしまったというのも悔しいくらい、いちいち頷ける部分ばかりだった。演劇界がいかに金銭感覚の麻痺し、閉鎖的ないかれた社会かがわかる。また、とりあげられてる劇団の主宰が、脚本家の才能以外クソなダメ人間で部屋が汚くて劇団員がダメすぎてほっとけないという甘やかされ方をしているという他人とは思えない人なので哀しい。

 これはもう、小説家から小説の形をとった演劇界へのダメ出しと受け取った方が良い。赤字で当たり前という意識は不健全だというのはわかっているが具体的に「常識として考えられない、プロジェクトというものは普通利益が出るようたてられる、最初から赤字‥」と当たり前のように書かれるといかに非常識かがわかる。

 ほかにも
 自分たちは食えていないのに、スタッフにはギャラを払っているという理解しがたい構図

 脚本が遅くなるから余計にかかるお金、ビラやサイトをみてもあらすじもわからんで見に行く気が起こるかという指摘

 持ち出しが当たり前なため、金がないくせに経済感覚が逆に緩い(私だって自分でもかなり緩いと思っているが、京都演劇界屈指のケチな主宰と言われる。毎回20万くらい自腹きってる私がケチなら、ほかの人は銭を撒いてるのか)

 お客様の見に行きやすい時間より、劇団の都合を優先した開演時間設定

 放漫会計をダメだしするだけで緊縮財政一辺倒ではなく、DMを折らずに定型でだす大切さなど金をかけるところはかけるといった細かい視点

 そして、一番聞いたのがこれ。劇中の劇団はかなりわかりやすい作風の劇団なのだが、それゆえ演劇界で評価されないことへ、作者はばっさり「どんなジャンルでもわかりにくい玄人むけの作品ばかりを評価し、一般人への門戸を広げるチャンスであるわかりやすいものを冷遇するようでは、そのジャンルじたいがメジャーになることはない」と切り捨てている。とても痛快だ。私がそれを言っても負け惜しみなので、外部の人からずばっといってほしい。

 で、ここまで読んで、ただ悲しいのが、下北サンデーズでもそうだけど、

 1動員が1500人と、すでにそこらへんの小劇団レベルではない
 2作家の才能が有る
 3かつ、作家が既にテレビの構成など専業ではなくバイトもしくはヒモはしつつも金は稼いでいる
 4劇団員は貧乏だが、スキルはあり、かつそれが7、8人はいて、座長に心服している
 5そこに、「シアター」では現役声優、下北サンデーズでは上戸彩が演じる役といった、流れを変える新人が入ってくる
 6銭勘定、緊縮財政、マスメディアへの工作などができる優秀な制作がいる

 くらい設定しないと、とてもじゃないがサクセスストーリーとしてリアリティを持てないということだ。上記の条件はすでに小劇団としてはかなり恵まれている。内閣は私の才能の2だけ、スキルのある子もいるけど人数は足らんし私に心服してない(それは私の問題だが)。正直このうち4個くらいあれば私も成功する自信はあるぞ。厳しいなあ

 まとめると、私も「成功なぞしなくていい、サークルののりで楽しくずっとやって行きたい」という気持ちも理解できないわけではない。今がとても楽しいし、売れたら良いと思うけどもし売れることによって、楽しさや自由さが失われるのは怖いという思いもある。私はお金が好きだし、お金儲けることが好きだが、それはお金で買える物が好きで自分の行動が金になるということが好きなだけであって、金や金儲けじたいが好きなわけではない。金にならないから頑張れることもある、金をもらうからこそ手を抜く、美しきアマチュアリズムをもってるともいえる

 が、貧乏は嫌いだ。今は貧乏だが、好きで貧乏なわけではない。貧乏を脱するために、好きなことを我慢することを天秤にかけて貧乏の方がまだ耐えられると我慢してるだけだ。今、芝居をするために金を払うのはやむをえないが、好きなことだからしょうがないとは思わない。できたら一銭も払いたくないし、お金が欲しい。芝居だけじゃない、ご飯屋に行っておいしいご飯を食べさせてもらったからお礼にお金を払うのは当然とすら思わない、出来れば「先生食べていただいてありがとうございます」とお店の方からお金をくれた方が嬉しい。乞食根性と言われようが、金は出来るだけ使いたくない。どうしても使わざるを得ない時に、散財するためにも

 なのでね、知り合いの演劇人は読めとは言わんけどさ、読んでみた方が良いよ。あと、演劇してない人には理解してほしいな。なんでも映画化には反対だけど、演劇人は本読まないから映画化してくれた方がいいかもね


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