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2014/06/29(日)
パールハーバーと福島
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ハワイ旅行は全行程楽しかったが、一番考えさせられたのはパールハーバーである。
言うまでもなく、1941年12月8日(現場の記念碑や展示では7日になってて、なんでやねんと思ったが、現地時間は7日だからなのね)の真珠湾攻撃の現場であるパールハーバーは、オアフ島に行ったからには絶対行かねばならんなあと思い、甥っ子や姪っ子にはつまらんだろうなと思いつつ、全員で行って来たのであった。
現在も軍事施設なので、手荷物を持って行けない(中に爆弾が会ったら困るかららしい)とか、むやみに写真を撮れないゾーンもあったりするが、思った以上に「観光地」になっていて、沈没した戦艦アリゾナの上の海上にあるアリゾナ記念館、戦艦ミズーリをそのまま停泊したミズーリ記念館、零戦や人間魚雷が展示してある太平洋戦争記念館、潜水艦がみれるボウフィン潜水艦パークと4つも展示があるのである。無料展示のところも含めて、全部行こうとすると丸一日かかるのである。
さすがに短いハワイ滞在で、丸一日パールハーバーで潰すのは勿体ないやと思って、メインのアリゾナ記念館に行こうと思ったが、ここは無料なのだけど開場にある狭いところなのでいっぺんに大人数行けなくて整理券をもらって、その時間まで待つてシステムなのだが、行ったのがモタモタしてたせいで8時半に行ったのに行けるのが13時半とかいって、どうしても12時キックオフのギリシャ戦までにワイキキに帰りたかったので断念して、まあせっかくなら博物館なら日本でも行けるが、米軍艦はハワイでしかいけんべってことでミズーリに行くことにした。
第2次世界大戦で、日本をメタクソにたたき、降伏文書の調印の場ともなり、また朝鮮戦争や湾岸戦争にも参戦したミズーリは、今はパールハーバーで記念館となっている。入り口の方でウロウロしとったら、「ジャパニーズ?」と聞かれて、日系3世のジェームズ・アリネ氏というボランティアガイドの方に案内頂くことになったのであった。
アリネ氏は御年70であったが、陽気なおっさんでミズーリの中を楽しくガイドしてくれたのであった。もちろん旅行なんだから、楽しいに越したことはないので、アリネさんのガイドに陽気に応じたわけであるが、日系人とはいえもはやアメリカ人である。原爆のおかげで戦争が早期終結したとか、特攻の跡を嬉々として説明されると違和感はある。いやいや、いうて原爆で日本人はどんだけ死んでるんややし、ミズーリに特攻した石野二等非行兵曹は結局撃沈どころか、ちょっとへこませただけで戦死してしまったわけである、日本人としてはぐっとくるものはあったわけだ。
が、内心そう思ってたところで、なにせハワイ気分ではしゃいでいるので、アリネ氏のガイドにはニコニコはしゃぎながら聞いてたわけである。子供らはおちろん、妻も母も義妹もニコニコ聞いていたわけだが、義母は不機嫌であった。身近に軍隊に行ってた人がいるらしく「なぜあんなにニコニコ聞けるのか」とおっしゃっていた。
これはなかなか難しい問題である、婿が芝居ばかりで稼がない娘のヒモであっても気にしない義母でも、パールハーバーのガイドが陽気だと不機嫌になるわけである。それが当事者とそうじゃない人の違いなのか、私には理屈では義母が不機嫌になる理由はわかるが、理解することはできない。
じゃあ、あそこで日本人相手のガイドを仕事としているアリネ氏は、当事者が来ることを鑑みて常に沈痛にガイドすべきなのかというと、それもまたどうなのかとも思う。少なくとも私はせっかくハワイに来て、暗くなりたかったかというと、確実にこのアリネ氏の陽気なガイドだから楽しかったといえるし、ただ楽しいだけじゃなく戦争がいかなるものだったのか考えさせられる要点はつかんだガイドだったと思う
で、あんまり現場はあんまり意識してなかったけど、その後ダイヤモンドヘッド登山しながら、これこそ次回の芝居のテーマである福島にどう行くかて話になるなあと思ったわけです。
今回の公演は10月ですが、8月の段階で参加者は福島で合宿をします。で、彼らをどう引率するかです。はっきりいって、私を筆頭にみんなこどもなので絶対にはしゃぎます。しかし、はしゃいでいるのを当事者が見てどう思うか、参加者に被災者はいませんが、現地の人と一切関わらないわけがないので、そんな中に、20過ぎてる幼稚な劇団員がはしゃぎながら被災地を見ているのはどう思われるのか、さりとて私が「行くからには役者なら嘘でも沈痛な顔していけ」というのが正しいのかというと、私は「はしゃぎ気分で行って、現状を目の当たりしてから、ぐぬぬって顔になる己の変化を噛み締めてほしい」と思って連れて行くのでどうかなあと思うわけです。
そういうわけで、行って見て改めて、米軍の方々は奇襲を受けた忌まわしい記憶であり現在も軍事施設としてそんなうろちょろされても困るはずの、パールハーバーをあんな楽しめる観光地にしてるのはどういう意図であり、訪れてるアメリカ本土側の人や、第3国の人はどういう気持ちで訪れてたりするのかなあってのを聞いてみたいと思ったのだけど、新婚旅行なので1回行ったところを「もう1回行きたい」というわけにもいかんし、行ったところで英語がわからんのでいかんともしがたかったのであった。
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