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2004/12/03(金)
終わってしまえばあっという間。【夏風馨】
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今日で解剖実習も最後でした。 朝から脳をスケッチし、点描に明け暮れ、午後に納棺をつつがなくすませました。 納棺をするためには、解剖したお身体を元ある場所に戻さなければなりません。 納棺を進めつつ、色々な事を考えました。 9月から始めた解剖実習は、あっと言う間だった。 辛くて辛くて、一体どれだけ続くんだろうと思ったけれど……気付けば納棺している自分がいた。 最初、きっと精神的に耐えられないと思っていたのに、何事もなくご献体にメスを入れられた自分を思う。 解剖学アトラスを見ながら食事ができる、そんな感覚に少しだけ嫌な気分を持ちつつも、だからと言ってそれを否定したいとは思わなかった。 段々体力的に精神的に限界になっていた。 恐らく後1ヶ月続いた私自身は壊れていただろう。 それなのに、何か喪失感があった。 いつも一緒にいた人が、明日からはいない。そんな感触。 9月から私に色々教えてくれたご献体は荼毘に付される。 いつの間にか大切な人の一人になっていた。 彼は私の中に大きなものを遺してくれた。
これからもずっと、この思いを忘れずにいたい──……。
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