いいりん ☆ ゆつくりえいと ☆
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2004/06/25(金) 夏至の日のつづき。20日のこと
≪意味の雨≫

 一日遡って、20日の朝、国立駅前のスタバに集合し、埼玉のMさんの車で出発。テント一張と、シュラフ、ブランケットは一応積んだものの、あとはコーヒーを沸かすためのカセットコンロくらいで、キャンプとしては準備は軽装。一泊だけだし、短い夜も火を焚けばあっという間に明けるだろうなんて気楽な気分でした。
 ところが、中央高速をおりて富士急ハイランドを過ぎ、標高があがってくると、
昼前なのにカエルの大合唱。。。
怪しい雲行き。高原にはいると雨。雨というより霧雨。
朝霧高原につく。
前日から来ていた知り合いにきけば、朝からずっと雨だったとか。

 雨の中、午後は、ダコタ、ナコタ、ラコタのなつかしいおばあちゃんのあたたかいお話しや、地元の文化財保護活動を担っている白装束の神主さんの風土記ともいうべきお話し、そしてニュージーランドのマオリ、アイヌ、沖縄、ハワイ、カナディアンイヌイットの歌や踊りはつづく。。。
以前、タイに視察旅行に行ったときに、踊りや語りを通じて本当の文化交流を進めていけたらと夢を語ってくれた日本の市長さん達のことをふと思い出したりしました。
雨のなか、人は少し内向的になっていく。いいことだと思った。
言葉が少なくなっていくのに、共有できるものが増えていく、不思議な矛盾。いきもの全体の交流ができるようになっていく。雨はいい。

≪カチャッカチャッ…≫

 20日の屋内でのプログラムが輪の踊りで終了すると、外へ。
ムシムシしたところから出ると、まだ明るい芝生の上に絶え間なく落ちてくる雨は案外心地よく、サンダルを脱いで、はだしで丘を横切ることにしました。霧で煙る野原の中央に古風な旗がひらひらしている。遠くにはティピーの輪郭がうっすら見える。でもほとんど白い世界。
こんなに≪白い≫、という景色の中に立ったのは初めてだ。足元の草の黄緑意外は、白い。
どちらかといえば、穢れなき世界の寂しさなのかもしれない。
明日ここにまた来よう。

野原を横切って舗装道路に出たとき、カチャッカチャッと地面を伝って馬の蹄の音が幽かに聞こえてきました。
気のせいかと思い、近くの人に尋ねてみると、そろそろ馬の一団が戻ってくる時間のようです。 
もういちど耳を澄ますと、確かに足音が近づいてきます。
みんな気づき始めました。
でも道は、霧で全く何も見えません。
 1分もすると、先頭の赤いコートの長老が漸く視界に入ってきました。
Thank you!
ああ、まだくるまだくる、、21頭の個性的な馬たちが、赤いレインコート姿の人びとを乗せて、雨の中を登ってきたのです。

インディアンの色鮮やかな羽根も、皮のベストもブーツもマントも必要ない。
そのことを気づかせるために降るのか、雨。

雨はしかし、長老にも容赦なく降り注ぎ、消耗させる。厳しい。
芝生一杯に、見たこともないくらい大きな人の輪ができ、その周りを馬が廻ります。
歩いてきたひとの手は暖かく、私の冷たい手を一瞬で温めてくれました。
輪の一部になっていても、全体は霧の中。雨脚が強くなると一瞬だけ霧が切れ真中が薄っすら見えても、輪の反対側は何もみえません。
 輪が完成したと廻ってきた誰かが言いました。
馬で戻ってきたチーフの唱える気高い声は、単純なリズムを伴って乾いた大地を思わせる。そしていつしか私は世界中のあちこちをゆっくり思い巡らしていく。想像は瞬時に翔んでいく。
うぐいすのなき声が入り込み、ここは日本だったと我に還りました。
そういえば、緩い傾斜のあるこの野原は、ラストサムライの決戦の場に似ているな。自然にとっては百年なんてあっという間なのだろうな。

誇りとは、謙虚なこころを生むものだと思う。
生命のはかなさを知る者は、生命の尊さを感じている。

これが一日目でした。

≪泥をかぶって、しあわせさ〜≫

 21日の朝は、風雨が強くなり、昨夜からの雨漏りも限界で寝てもいられず、朝5時半ころからテントをたたみはじめました。
前夜ぬかるみにはまった車(ミツビシ!)を銀マットを裂いてタイヤに差し込んで、一気に押す。あっというまに全身泥だらけだ、ホースで全身に水をかけてもらってレインコートやスカートの泥を落とす、そんな状態で始まった夏至の日(泥祭りじゃないのに。。。)。
でも、近くにいた何人もの人が、さっと寄ってきてくれて、何も言わずに泥だらけになるのを承知で手伝ってくれました。また私たちも別の車をあれこれ試しながら一緒になって押したりして、無事救出。
どういうわけか、こんなときはみんなにこにこしてしまうのです。
私もMさんも、目の中から泥が出てきて大笑い。
そのあと嵐の中、意地で淹れたコーヒーのカスが泥にそっくりで、朝からまた大笑い。
本当に、長い夏至の一日でした。
 このココロもちをいつも持ちつづけたい。


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