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2004/07/27(火)
天然、のオレンジの色
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昨日の色選びで、一番はじめに選んだのは、元気なオレンジ色と黄色のグラデーション。
これは、私にとっては季節もココロのなかも【冬】が棲んでいる時には選択できないほど、特別な色です。好きな色だけれど、負けてしまいそうになる存在でもあるのです、きっと。
天然のオレンジの色。
…ゆらゆらするボートを降りるのも待ちきれずに、どろんこの丘に引っ張りあげてくれた村のおじいちゃんは、にっこり笑って、手にもっていた黄金色の実を私にくれた。 びっくりした私に、言葉のわかる男が『ラランジャ(オレンジ)!』といった。…まだいっぱいあるよ。
おじいちゃんは、片手にオレンジを、もう一つの手で私の手を掴み、何の説明もなく、どろどろの坂道を容赦ないスピードで駆け上がった。 いったいそんなに走って私に何を見せたい? サンダル脱げちゃうよ。 少し不安だったけど、おじいちゃんの手から不安は伝わってこなかったので、丘の上の開けたところ、集落の庭まで一気に駆け上がった。
村の木のオレンジは、あまさとすっぱさがぎゅっと凝縮した夕日のような味がした。いくつでも食べられそうだったけど、幸福すぎるから少しだけ食べ、みんなで分けた。 おじいちゃんは、村の自慢のフルーツを味あわせたかったから、幸せそうに食べる私の笑顔をみると満足して、夕闇の中、小屋へと帰っていった。なんという素敵なもてなしだろう。
このオレンジは、まるでエデンの園のリンゴの存在など知らない。
リンゴ一個とオレンジ一個、併せて幾つ? という小学校で習う算数が、もうできなくなった。
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