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2004/11/11(木)
グルメ杵屋
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久々に厚木ミロードの「グルメ杵屋」に行きました。
今、真保裕一の「ボーダーライン」を読んでます。 ********************************** 日刊ゲンダイに掲載された書評です 私、総和信販ロサンゼルス支社調査部お抱えの私立探偵永岡修は、支社長の関口から、東京のクライアントの依頼で、十七歳で家を飛び出し、消息を絶った安田信吾という青年を捜せと命令される。 メヒカーナや黒人の出入りする場末のバーの入り口で隠し撮りした写真1枚を手がかりに、行方を捜す私は、メキシコ国境の町で青年に撃たれた。その顔に浮かんだ無垢の微笑み。 だが、日本から来た青年の父親と妹から聞いた青年の過去は、その微笑みの下にひそんだ邪悪な意志を貫いたもの。生まれながらの犯罪者だと、息子と対決しようとする父に、私は人の心の砂漠を見た――。 なんとなくアメリカにやってきて食いつめたところを関口に拾われ、カリフォルニア州のP・Iライセンス(プライベート・インベスティゲーション)を取って4年。暮らしはじめて3年2カ月のメリンダが、ある日、仕事も辞めて出ていったきり。なぜ? と私もうっ屈をかかえこんでいて、思いはつねに過去にさかのぼる。 かへなげかける「私」の言葉のほとんどは疑問、質問。それが人間の心の深奥を浮かびあがらせる。 そして職業としての私立探偵が主人公のハードボイルド小説の正統を行きながら、いっさいの幻想が崩壊した社会の倫理や法の「あちら」と「こちら」のボーダーラインを超える者、超えられぬ者、いずれにしても空虚と添い寝の現代人の姿に迫り、その空虚をうめるものはなに? と問うて、現代社会の断面を切り取る真保裕一の刃の切れ味にうなった。
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