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2005/06/20(月)
史上最低のF1サーカス
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あまりの出来事に怒りを禁じえません。 こんばんは、けーすけです。
今日はF1の話です。 かなり長い文章になるので、興味のない方はご注意ください。
日本時間の今日未明、アメリカではF1世界選手権第9戦アメリカGPが行われました。 このGPは恐らく、歴史に残るGPになるでしょう。 史上最低のグランプリとして。
事の発端は金曜日の2回目のフリー走行時。 トヨタのラルフ・シューマッハーが最終13ターンで原因不明の大クラッシュ。 程なくして原因はミシュランタイヤであると分かったが、どういったタイヤの要因でクラッシュに至ったかは不明。 タイヤの何らかの原因によるものとしか判明せず。 ただ、10数週走るとタイヤに何らかの異変が発生する確率が高い、とのこと。 そしてトラブルが起きないという保障は出来ない、と。
そこでミシュランはミシュランユーザのチーム(マクラーレン、ルノー、ウィリアムズ、BARホンダ、トヨタ、ザウバー、レッドブル)にセッション中はタイヤの様子を見ながら走るように助言をする。 それと同時に主催者であるFIA(国際自動車連盟)にふたつの提案をする。
ひとつはフランス本国から新しいタイヤを空輸して換装すること。 しかしこれは、FIA側は拒否。 理由は、現在のレギュレーションでは予選から決勝までは1セットのタイヤを使用しなければならないことから、換装すればルール違反になるため。
ミシュラン側からのふたつ目の提案は最終13ターンにシケインを設けること。 しかしFIA側はこれも拒否。 今回のトラブルはミシュラン側の技術的、構造的な欠陥からのトラブルなため、こういった提案は受け入れがたかったのでしょう。 実際、ブリジストンタイヤには何の問題もありませんでしたし。
なぜ、ミシュラン側がこういった提案をしたのか。 第一にドライバーの安全を優先してのこと。 そして現在ミシュランユーザのうち、ルノー、マクラーレン、トヨタといったチャンピオンシップで上位に位置するチームにポイントを取って欲しかったこと。 また、現在のレギュレーションではスタート時に10台未満なら無効レースになるため、ミシュランユーザが一斉にスタートを棄権すればレースを無効にできる、という考えもあったのではないかと思います。 それに対してFIAは強い態度には出れないだろう、と思ったのでしょう。 しかし、FIAはこれを全て拒否。 ちなみにこのふたつの提案に対してフェラーリ以外の2チームはおおむね了承していました。
そういった波乱を含みながら予選へ。 ポールポジションはトヨタ、ヤルノ・トゥルーリ。 トヨタは悲願のポール初獲得。 トヨタファンの僕としてはとても嬉しい結果でした。
そしてミシュラン、FIA、両者妥協案を見出ないまま、いよいよ決勝レース。 直前までミシュランユーザーはスタートを棄権するのではないか?と思われていましたが、全チーム、20台がダミーグリッドについてました。 そしてフォーメーションラップ。 無事に各車ホームストレートに帰ってきた、と思うと、ポールのトゥルーリを先頭にミシュランユーザの各チームの車がピットレーンに。 そして車をガレージに入れます。 理由はレーシングペースにおけるタイヤの安全の保証が出来ないから、と言うことでした。
結局スターティンググリッドに着いたのはブリジストンユーザのフェラーリ、ジョーダン、ミナルディの各チーム2台の計6台。 そしてシグナルはレッドシグナルからブラックアウト。 6台がスタート。
これで問題となったのは、このレースは無効レースになるのか、と言うこと。 FIAはフォーメーションラップ後にピットに入ったことによってレースディスタンスを1ラップ消化したとして、このレースは成立したとみなしました。
観客の大ブーイングの中進むレース。 ミシュランユーザのチームはしばらくはガレージ内でドライバーをコクピットの中で待機させていました。 これはFIA側がなんらかの対策を講じてくるのではないか?と思ったからでしょう。 しかし、FIA側は何の動きも見せず。 しばらくしてドライバーも車を降り、正式にリタイア。
かくして、レースは本格的に6台で争われることに…といってもジョーダンとミナルディはフェラーリについていけるはずもなく。 ミハエル・シューマッハーとルーベンス・バリチェロのマッチレースに。
しかし、ちゃんとしたレースを見れない観客から不満の表れとして、コース内にペットボトルやビール瓶を投げつけられていました。 これに対してもFIAはなんの対策もとらず。 コース内に危険なものが投げ込まれていると言うのに、レース中断はおろか、ペースカーも出しませんでした。 こういう危険管理もちょっと問題があるな、と思いました。
レースはそれからはなんの波乱も起きることなく、フェラーリ、シューマッハーが今季初優勝。
振り返ってみると、ミシュラン、FIA側、どちらの言い分も判ります。 ミシュランはドライバーの安全とファンの気持ちを考えての提案でしたし、FIAはF1はスポーツである以上、ルールは遵守しなければならない、と。 しかし、ファンとしてはやはり全チーム出走してバトルを見せて欲しかったです。
次戦はミシュランの母国フランスGP、マニ・クールサーキットです。 もし、今回のことが問題になればミシュランの母国で開催されるGPですから、まだまだ波乱があるかもしれません。 そういった政治的な問題でF1が面白くなくなるのは、チームも、FIAも、ファンも望んではいないと思います。
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