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2004/03/23(火) 中世前期 7世紀ごろ
【中世前期(古期英語時代)の文学】アングロ=サクソン人たちの口承文学は,7世紀ごろ,今日の英語とまったく異なる古期英語によって成文化された。この時代を代表する最高傑作が,3,000行以上の長大な英雄叙事詩『ベーオウルフ』である。この叙事詩は2部からなっており,第1部では,スウェーデンの王子ベーオウルフがデンマーク王を援けて,沼地の怪物グレンデルを退治し,第2部では,故郷へ帰ったベーオウルフが,国を荒らす火を吐く龍を退治し,自らも致命傷を受けて死ぬという物語である。物語の素材・背景・宿命的人生観等はゲルマン民族特有のものであるが,主人公ベーオウルフ王子は,成文化された時代のイギリス的な理想的英雄像を反映する人物となっており,そういう観点からイギリス文学の原点といえるだろう。

 また,6世紀にはキリスト教が伝来し,キャドモンは旧約聖書から題材をとり,キニウルフは新約聖書から題材をとって,それぞれ宗教詩を書き残している。

【中世後期(中期英語時代)の文学】アングロ=サクソン人たちは,9世紀ごろからたびたびデーン人の侵入を受けていたが,ついに1066年,ノルマンディ公ウィリアムに征服される。これによって,それまでの北欧文化にラテン文化が混入融合することになり,今日のイギリス文化の基礎ができ上がった。当初,支配階層の使うノルマン=フランス語がもっぱら公用語として使用されたために,古期英語はしだいにその影響を受けて著しく変化し,やがて中期英語が形成される。13世紀に入ると,それまでのノルマン=フランス語にとって代わって中期英語が公用語としての地位を回復し,中期英語による優れた文学作品が次々に生まれた。

 まず当代最大の詩人であり〈英詩の父〉と称せられたジェフリー=チョーサー(1340〜1400)は,人間性への鋭い洞察,暖かい共感とユーモアをもって大作『トロイラスとクリセイデ』や『カンタベリー物語』を書いた。後者は,1万数千行にも及ぶ韻文と散文からなる物語集であるが,このなかでは当時のイギリス社会各階層の人物が,その服装・言語・行動にいたるまで生き生きと描かれており,中世から近世への過渡期を知ることができる。また,寓意的・宗教的夢物語『農夫ピアズの幻』を書いたウィリアム=ラングランドや,『恋人の告白』を書いたジョン=ガウァもこの時代を代表する詩人である。

 またこの時代には,ノルマン人によってロマンスという文学形式が伝えられ,高潔,礼節を尊ぶ騎士道精神をテーマとするロマンス(物語文学)が書かれた。このなかで最も重要なのが,ブリテン人の伝説がもとになって生まれたアーサー王伝説群である。この題材は後世の詩人や小説家たちも取り上げ,イギリス文学のなかの主要なテーマとなっている。アーサー王伝説の集大成をしたのは,トーマス=マロリー(1406?〜71)で,彼は,格調高い散文で『アーサー王の死』を書き,アーサー王をイギリスにおける民族的英雄にまで高めた。

 以上の文学作品は,主として上流階級の人々の楽しみであったが,一方一般民衆の楽しみとしては,韻文で物語やエピソードを歌うバラッドという素朴な文学形式があった。当時数多く作られ愛好されたバラッドは,シャーウッドの森に住む義賊ロビン=フッドをめぐるものである。


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