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2004/07/07(水)
シェークスピア2
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ロンドンで生活するようになったのは1588年ごろらしい。92年には、すでに俳優と劇作家としての成功を手にしており、ほどなくして3代目サウサンプトン伯ライアススリーの後援をうけるようになった。
当世風にエロティックな2編の物語詩「ビーナスとアドニス」(1593)と「ルークリース凌辱」(1594)の出版により、シェークスピアは、ルネサンスの才能ある人気詩人としての名声を確立した。また、このころ書いたとされる「ソネット集」は、長いあいだ、原稿のままで回覧され、1609年になって出版された。この「ソネット集」の主人公は、シェークスピア自身らしき詩人である。美貌(びぼう)と徳目をあわせもつ青年貴族に献身しながら、神秘的で不実な女性「ダーク・レディ」に心をうばわれる様や、詩人の友人が「ダーク・レディ」に魅了されたことから生じる三角関係が、情熱的な激しさと深い心理的洞察をもってえがかれている。
しかし、現代でのシェークスピアの評価は、これらの詩の作者としてではなく、明らかに彼が書き、手をいれ、または共同執筆した、三十数編の戯曲にもとづいている。これらの戯曲は、当時、一般的な人気は高かったにもかかわらず、同時代の知識人たちから高く評価されることはあまりなかった。彼らは、当時の演劇を低俗な娯楽とみなしていたのである。
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