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2005/08/31(水)
*緑の火*
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目の前で紅が散った。 信じられない気持ちでそれを幸村は眺めていた。 また失ってしまうのかと思った。 足元がおぼつかない。 ぐらぐらとしていて安定しない。 まっすぐに立っているはずなのに体が揺れている気がした。 ゆっくりと地におちる小さな体を抱きとめることもできずに、ただその様を見ていた。 殊更時間がゆっくりと流れる。 どさりという音がしてようやく幸村の体が動いた。 唇はその少年の名前を形どるが声がでることはない。 倒れた体を抱きこみ、その顔を覗き込んだ。
生きている。
そのことにひどく安堵した。 息は荒く、顔色も悪い。 着物の袖を乱暴にやぶいて少年の傷に巻きつける。 巻きつけたそれはすぐに緋に染まった。 嫌だ。 子どものように泣きそうになる自分を叱咤する。 必死に止血をする。 「いかないで」 震える声で少年に言う。 敵はもういない。 この少年が、全て倒した。 その身を犠牲にして。幸村を守りながら。 「やめてくれ・・」 奪わないでくれ。 逃がさないようにしっかりと手を握った。 少しでも、楽になるように。
「・・ゆき・・むら・・」
かすれる声で名を呼ばれる。 「サスケ!」 「そんな・・顔すんなよ・・。大丈夫だから。」 これぐらいどうってことない、と少年は続ける。 そして少年は無理に起きようとさえする。 「サスケ!寝てるんだ。」 「・・・。ったく・・。お前子どもかよ・・。何泣きそうな顔してんだ。」 呆れたような口調とは裏腹に、小さな手が幸村の頬に優しく触れる。 「これぐらいの怪我・・よくあることだろ?」 「・・・サスケ!」 「本当にお前は・・オレがいないと・・駄目なんだな。」 少しだけ照れたような、嬉しそうな笑みを浮かべた少年の体をそっと抱きしめる。 「駄目だよ。サスケがいないと駄目なんだ。」 「知ってる。」 「だから、もうこんな怪我しないでよ。」 「・・それは・・約束できない。」 「・・サスケ!」 力が入らないのかいささか弱弱しい腕が抱きしめる幸村の体を離す。 「お前がオレのこと大切にしてくれてんのは・・わかってる。お前が人が傷つくのを・・何より嫌っていることも・・わかってる。」 一瞬間をおいて、少年は続ける。 「だからこそ、オレはお前を・・守りたいんだ。そんなお前だからさ。それが・・オレの望みだから、怪我をしないなんて・・・約束できない。」 「サスケ・・」 「でも、本当にお前は・・オレがいないと駄目だしな。努力は・・してやってもいい。」 言って、少年は不敵な笑みを向ける。 「サスケ・・」 「だからオレはもっと強くなる。お前も・・・強くなれよな。」 「うん。・・そうだね。ボクはもっと強くなるよ・・。サスケに怪我させないくらいには・・・ね。」 「・・そうじゃ・・じゃなくて・・・っ」 続きを言わせないように、軽くその唇に口付けた。 少し鉄くさい、血の味がした。 「幸・・村っ!」 抗議をしようとする少年を笑みで制す。 「ありがとう、サスケ。」 「な、なんだよいきなり・・・!?」 「一緒に天下をとろうね。」 その言葉に、少年は辛そうな顔で目をそらした。
お前のその傷に、血の臭いのする口付けに誓おう。
強くなると。
それは皆を守れる強さであって、お前を見捨てて進む強さではない。
幸村ではそれでも踏みしめる血の臭いを感じて、少年の体を再度包み込むように抱きしめた。
*** 守るものを踏み台にして進む強さもある。 きっと幸村はいざとなったらサスケを捨てて進むと思う。 何よりもサスケの望むことを知っているからこそ、進むと思う。 以前徳川親子の会話を聞いて考えたことを書きなぐってみました・・暗いよう・・orz
★web拍手お返事 2時 新TOP絵に〜の方 あ、ありがとうございます!! 嬉しいですvv 何故かマコサスを描く時は小太郎に異様に気合を入れてしまいます(笑) 小太郎はサスケの前だとものすごく優しい表情になりそうですよねv 拍手ありがとうございましたvv
*** 今日は友人Tとバドミントンを何故かしてきました・・。 ものすごい腰が痛い・・orz 彼女曰く、コート内を駆けずり回る私の姿が好きらしいです・・ 鬼か!!(号泣) 明日は筋肉痛だろうな・・(遠い目) でも色々話せて物凄く楽しかった! ・・・ああ腰が痛い・・・ 突然ですが、私吹雪さん大好きなんだと気づきました・・。(本当に突然)
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