徒然草
うーむ、面白い文章を書きたいものです。

ところでお気に入り登録はホームをお願いします。
ホームページ最新月全表示|携帯へURLを送る(i-modevodafoneEZweb

2004年12月
前の月 次の月
      1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31  
最新の絵日記ダイジェスト
2016/01/24 読書記録メモランダム
2015/11/14 現在の積読状況
2015/01/01 旅行振り返り
2014/09/18 音楽
2014/09/15 遊び回る

直接移動: 20161 月  201511 1 月  20149 3 月  201312 7 3 月  201212 11 10 8 7 6 5 2 1 月  201112 10 9 8 7 6 5 2 1 月  201011 10 8 7 6 5 3 2 1 月  200912 11 10 9 8 7 6 5 4 3 2 1 月  200812 11 10 9 8 7 6 5 4 3 月  200712 11 10 9 8 7 6 5 4 3 2 1 月  200612 11 10 9 8 7 6 5 4 3 2 1 月  200512 11 10 9 8 7 6 5 4 3 2 1 月  200412 11 10 9 8 7 6 5 4 3 月 

2004/12/26(日) マッチを売っていた少女
「マッチを売っていた少女」
ぷれぜんてぃっどばい、植田
by December 26th 2004

今日は1年の最後の日。
勿論、太陽暦の話。
だから去年と同じ位置に星が来ている事も知っている。
だからどうしたというのでしょう…。
私がどれだけ声を張り上げても皆は素通りし、マッチを買う人はいない。

でも、もうそんなことはいい。
どうせ私は今日、死んでしまうのだろう。
お婆さんの待つ家には帰れない。
雪の中で静かに、そっと…。



本当に手足がかじかんできた。
もうだめだ、という一層確かな予感。
私は誰かさんの家の角に座ってマッチに火をつけた。
最後に暖を取るくらい許してくれるに違いない。

暖かい…
手の先が特に。
焦げ付くような熱さを指先に感じる。

そのマッチを雪で消して次ぎのマッチに火をつける。

火の中に私は絵に描いたような幸せを見た。
机にはご馳走、笑顔の私、灯の燈った蝋燭、
お婆さんがデーザトを運んできて…

ああ…、結局幻想でしか無いけれど、でも、それが幸せに違いない…

そう思った。

小さな炎は消えて、私を支えていた、何かも消えた。
目を瞑る。暗闇、虚無、街のざわめきが遠のく。









なんだろう、これは。
そしてこれは何?

私は前に落ちていた物を拾い上げる。
歯車を回して、レバーに圧力をかける。

すると、
火がついた。


ずっと、長い間、火は消えなかった。
これなら永久に幸せでいられる…。
必死に頭の中で仕組みを描いた。
この道具が無くなっても次ぎが作れるように…

再び訪れる闇。
でも、街の賑やかさが肌に染みてくる。


瞼を空ける。
まだ、私は生きていた。




目を覚ました私は、必死で、
マッチに変わる小型の火付け機を作った。
それは、すんなりと人々に受け入れられて、爆発的に売れた。
会社を興して、大きくして…

あら、ケーキが焼けたみたいね。
オーブンからケーキを取り出して、お皿に分ける。

ダイニングでは私の幼少期にそっくりの孫が待っている。

「メリークリスマス」

机にはご馳走、私にそっくりな笑顔の孫、灯の燈った蝋燭、
すっかりお婆さんの私がデーザトを運んできて…


 Copyright ©2003 FC2 Inc. All Rights Reserved.