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2006/05/02(火)
有価的日和
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時計が騒音を撒き散らしていたので止めさせ、 目が覚めたと思った瞬間に悟ったのは、 これは一つの欠点もなく完璧な朝だということでした。 一点の曇りなく、ただ一つ足りないものもない、 それはそれは全世界に賞賛されるに値する見事な、 人生で五本の指に入る完成された朝だったのです。 この朝の素晴らしさというのは私の 言語中枢に収録されているありとあらゆる 賛辞をもってしてもまだ称えられるべきもので、 またこの文章を書いているうちに気分が昂揚し 幾分かの美化を取り混ぜながら一層光彩を放ち、 すぐ前に感じたことであったにも関らず、 今更ながらにもっと覚えておかなかったことを後悔します。 いや、しかしそんなことに注意を払っていれば 直ぐに汚れてしまうということを解かっていたのかも知れません。 さて、そんな染み一つない、貴い朝の気持ちを抱えて登校、 それでも尚、胸に確固として存在し続ける良質の気分。 時は過ぎ、三時間目に何気なく外に目をやると体育の風景。 昨日とは打って変った肌寒さに体育もさぞ大変であろうと 思いを馳せていて、気づいたのは、あの、あの表現できぬ 美しい気持ちは失われたものになったのであるということ。 いつ、私はいつ、忘れてしまったのか。 しかしそれすら淋しいと思わせず、後を濁さぬ、 綺麗で気品のある高尚で酔った様なあの気分は、 気がつくと確かに去ってしまっていたのでした。
06/05/05 23:48
--- 河馬を梱包する。 カバーする。
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