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2006/08/14(月)
八月十四日
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本日は植田宅にお坊さんが訪れ経を上げた。 去年も訪れたのであるが、彼は非常に素敵な顔のつくりをしている。 俗に言う、イケメンである。率直に申し上げて、仏教系ほのぼの漫画を描く時は是非参考にして欲しい。 そしてよく通るバリトンの声だ。実にハスキーであった。 仏壇のある八畳の和室では声量が大き過ぎるように感じられるほど豊かな声の響きであった。 経を読んでいる時は、植田は、というか植田家は彼の背中しか見られないし、 経を読んでいる最中に拝むべきは彼の顔ではなく先祖の霊であるからして、 植田は彼を見ていられなかったのだが、だが、まあ檀家で良かったなと少し思ったとか思ってないとか。 それから植田一家は墓参りに行った。 子供っぽいという自覚はあるのだが、植田は柄杓で墓石に水をかけるのが好きである。 単純に水掛け遊びという視点で見ているわけではないだろうが、おかしな好みのような気もする。 それが御影石に被った暑さや砂埃と共に体の穢れも落ちる気がするというのなら立派なものであるのだが。 さて、墓地の近くに贔屓にしているうどんのお店がある。チェーン店らしいのだが他の店を植田は見たことがない。 それに店員も多分いつ行っても変っている様子がないので、ずっと個人経営の店だと思っている。 麺にコシがあり、うどんの出汁もさっぱりとして美味しい。非常に好意的に評価できる店である。 その後、自家用車の後部座席で植田とその妹が古本屋古本屋と呟いていたのを 植田の父は聞いていたらしく、子を思って車は古本屋の駐車場に止まった。 感無量的に植田は店舗に飛び込んだ。冷房を体いっぱいに浴びて一息ついてざっと店内を見渡すと、 滅茶苦茶に空いていた。よく東京などはこの季節、逆に人口が減るというようなことを 各種媒体を通じて見聞していたとはいえ、このような辺境の地であろうとも 新興の住宅地くらいしかないとなると、皆が皆里帰りをするものなのかと変な感心をした。 普段の何でも無い平日の方が混み合っているくらいなのだから、やはり人口は激しく流動しているのであろう。
--- 名前に関する意見表明 氏姓への姿勢
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