徒然草
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2007/02/22(木) 原理不明
唐突な話になって少しばかり恐縮であるが、
今日私は病院を訪れ、名が呼ばれるのを待っていた。
というのも、内臓の形を確かめるべく、超音波を腹部に当ててもらう為である。
またどうしてこんなことになったのかという説明は脇に置いておく。
とにかく、私は初めての零距離超音波体験を待っていた。
消毒液の匂いはきつく、嫌いではないが、かといって好きな施設ではない。
壁に掛かった液晶テレビは般若心経を特集するNHKの番組を流し、
同じ待合室に集う老人達が頷きながら見ているのを私は見ていた。
といっても、あまり不躾に視線をやるのも頂けない。
手にした単語帳と、時計と、待合室の外をも交互に見遣っていた。
超音波を発生させる機械が置かれた部屋は視界の限りでは三室。
そこから男や女の医者だか技師だか看護師が顔を出して
次々と待ち合う人々を呼びつけていた。
別に彼ら医療従事者が若いかどうか、見目麗しいかどうかなど、
私にとって見ればほんの些事である。腕が確かなら良い。
考えていると、静かに私の正面にあるドアが開き私の名前が呼ばれた。
返事をして、立ちながら顔を上げると、えらい美人がそこに居た。
あ、病院って好きかも。無責任にもそう直感した。
メガネと白衣の美人とは、ここはどこの妄想世界ですか。
なんてことは顔に表さないように努力したつもりではあるが、
果たしてまったく出ていないといえばきっと嘘になるだろう。
誰かに問うてみる必要すら感じない。
どうでもいいようなおじさんに超音波を当てられるのと、
清潔感ただよう聡明そうな女性に超音波を当てられるのと…。
さて、部屋に案内される。ドアを後手に閉め、鞄と上着を篭に預ける。
見ると、結構広い空間であった。壁も厚いのだろう、静かでもある。
「はい、じゃあシャツを上げてそのベッドに寝て下さーい」
大人しく従う。ああ、もっと上等なシャツを着てくれば良かった。
ああ、もっと綺麗な腹をしていれば良かった。今更もう遅い。
「じゃあ、先ずお腹にゼリーを塗りますねー」
妙に感触がえちーかったです。超音波…恐るべし…。
ごほんごほん。
さて、切開されるわけでもないし、さぞ楽な検査だろうと思っていたが、
期待は裏切られた。切られるよりは勿論楽だが。
「じゃあ息をぐーと吸って下さーい」
頑張って息を吸う。吸い続ける。これと、次のセリフ、
「はい楽にして下さーい」
の間が長いのである。しかも何度も繰り返す。
心の内で「君の指示なら…いつまででも吸うさ」
などと迂闊にも考えた場合など、悲惨である。
馬鹿なネタの所為で表情が少し緩むと呼吸に差し障るのだ。
息を吸い込むどころではない。私はすぐにやましさを抹消する。
そして、超音波の機械を腹に押しつけられるのも辛い。
あ、これは私が余計なものを蓄えているからでしょうか。
それはごめんなさい…。
まあなんであれ、圧迫される。
検査の為に空にしてある腹に圧力。辛い。
そのうち、彼女はディスプレイに向かって、何か操作を始めた。
二人の間に会話は無い。私は万歳をして俎上の鯉と化し、
彼女は一人の職人として仕事に没している。
淡い照明が二人を無言に照らす。
……。あの、あなたの、指の感触がリアルで、大変です…。
ディスプレイに指示をだす左手ではなく、
超音波の機械を持った右手が、私の腹部に無造作に置かれていた。
他人の体温に動揺する私の内面は無視して、呼吸の指示再開。
手が離れる。助かった…。
後は、私はひたすら息を吸い続け、技師さんは診る。繰り返し。
長い検診の間に、私は悟る。虚しい…。
美人女医は日記のネタになると考えていたのが虚しい。
ついにその時空が私を反省にまで追いやった。
凄いですね、病院って。

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女医でjoy
アホか…。


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