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2010/01/14(木)
メモ
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http://d.hatena.ne.jp/Projectitoh/?of=36
補足 私は今「百舌谷さん逆上する」という漫画をふた晩で四回くらい読み返している。 主人公(語られる人として)の百舌谷小音(もずや・こと)が患っている病気としてのツンデレがある。 正確な病名をヨーゼフ・ツンデレ型双極性パーソナリティ障害という。 で、病名を付けたのはSF作家の故伊藤計劃氏。 で、その伊藤氏本人のブログで「ヨーゼフ・ツンデレ博士」の由来が書いてあったというのが上記urlを書きとめた意味。 更にその記述を元に、「ヨーゼフ・メンゲレ」で検索すると、ナチの将校が出てくる。 どうせ「ツンデレ」って外国語の響きがあるからヨーゼフとか頭に付けただけでしょ?と私は思っていたので、こういう絶対他人には連想できない由来があると知るだけでその病名の必然性に納得できる。
ところでこの「百舌谷さん…」面白いから是非読んで欲しい。 来月には四巻も発売される。 さて、この「百舌谷さん…」、「ツンデレは病気」という設定がある。それについては上記メモ参照のこと。 そして、この世界にはツンデレ病と萌え属性としてのツンデレが併存している。 ということは、あの世界での「ツンデレ萌えー」というのは、我々で言えば身体の欠損や、或いは眼帯・包帯少女に対する萌えに近似するのか、という問いを生まなくもない。「守ってあげたい/自分でも守れる」のエゴやなんやかや延長線上でかの世界の「ツンデレ」が成立しているのか、それとも単に仕草/言動から読み取れる照れが可愛いという萌えが、言葉も症状も似ているツンデレに(不謹慎に)結び付けて彼らは萌えているのかという思考的な遊びだけで一日日が暮れてしまう。 考えて欲しい。 ヨーゼフ・ツンデレ博士がその人格障害を発見・命名したのが果たしていつ頃のことなのか。そしてそれが日本で定着したのはいつか。 もうそれだけで「百舌谷さん…」をベースにしたメタな設定/架空の社会の言説の推察が楽しめてしょうがない。 百万人に一人の難病である。製薬会社もツンデレ病の治療薬には予算をあまりつけないだろう。 カウンセラによる他の病気との誤診が多いかもしれない。 また、病気としてツンデレが認知される以前、日本のツンデレ病患者は何と呼ばれていたのだろうか?またその扱いは? ツンデレ病患者同士のネットワークはあるのか(ないだろうな、繋がると症状が出てしまいそうだ。だからツンデレ病患者の保護者のネットワークは有るかも知れない)。 ツンデレを患っていたとされる芸術家や政治家や財界人や学者や俳優やはたまた軍人、もしくは教師なんかはいるか?彼らの功績を一般人はどう評価するか。 このパーソナリティ障害が原因で他人の法益を犯した(殺害/暴行/傷害/名誉棄損/放火)した者に対する裁判所の判決は?
勿論コミックとして、小気味良い罵詈雑言や、ファニーな表情、 分かりにくいパロディの類いといったおかしみ楽しみと、 一方での百舌谷さんの悲しみ・絶望/周囲の人のモノローグのバランスが実に絶妙で素晴らしいです。 そしてまた、小学生を主人公に据えてこの物語が成立するのは紙媒体だけだと思いました(ギリギリアニメはあり)。
読み込めば読み込む程、百舌谷さんに感情移入してしまい、彼女が架空の存在とはいえ、私は彼女の話を読んで笑ってっていいのか、とまで悩むようになりました。結局の所、誰の物語であろうと、私の頭の中にのみ存在するという点では、実在する人の不幸も、彼女の不幸も大きな差異はないはずです。ただ、現実的/物質的な影響力を行使できるか出来ないかの違いであって。
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