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2011/01/31(月)
寝られない
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後藤田と恋人として付き合い始めて二ヶ月と半月。 後藤田には、思い出となった恋人がいて、きっとそいつと私とが比べられてゐる事が分かる。 例えば、「今みたいな感じの距離感がいいね」と私を肯定してくれたけど、今みたいじゃない距離感を知ってゐるのが堪らなく嫌だ。 以前は、空いた時間はずっとその恋人と過ごしてゐたらしい。 私はそう云う性格じゃないし、性格を無理に変え様とすると多分後藤田を嫌いに成るから、空いた時間を兎に角会って過ごす様な事は絶対にしない。 だから、週に二回位会えば充分なので、そのペースを肯定して呉れた事は嬉しい。 でも、そう云う事じゃなくて、私と週二回会えば良いと言わしめた判断基準が既存の物だと云う事実が辛い。 こうして交際してゐて、私はあらゆる事を新鮮に思うし、殆ど全てが試行錯誤だ。なのに、後藤田にあっては、そうではない。 後藤田が新鮮だと感じるのは、前の恋人との不作為に依る物だ。 悔しい。 きっとこの話をすると、誰でも、「今好かれてゐるならそれでいいじゃないか」と云うだろう。「料理人がだよ、君、客が生まれてから店の席に着く迄に食べてきた物に嫉妬するかい」と。 覆水は盆に返らない。 だから私は後藤田や友人にも余りこの話をしたくない。 こんなどう仕様も無い嫉妬心、打ち開けた所で、泣いて仕舞う事位しか会話の止め方が無いのだから。
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