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2004/11/20(土)
「ラ・ボエーム」雑考その1
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プッチーニ作曲によるオペラ「ラ・ボエーム」は作曲時間よりも台本を作るまでの時間が長かったんだそうです。 それほど台本作家ジャコーザ&イルリカとの綿密なディスカッションが膨大な量だったことがわかります。
その一分の隙もない台本を読まずしてこのオペラを語ることは許されないのでしょう。 (原作を読むことはあまり意味がないように思えます。むしろ原作と相違する部分はプッチーニたちによる脚色が加えられており、なぜ彼らがその部分を原作と違えて書き直したのか?を探ることが重要です)
さて今日はショナールとコルリーネの会話の中にあるギリシア神話について・・・。 ◆第一幕ショナールのアリア(?)の最後に登場する「(オウムは)ソクラテスみたいに死んじゃったんだ」 "da Socrate mori!" ・・・ソクラテスは賢者たちとの対話の末に、彼らの「知っていると思い込んでいること」は全て彼らが「理解していないこと」であることを証明してしまいます。論破された賢者たちは恥をかかされたことを怒りソクラテスを裁判にかけ、結局死刑の判決を言い渡します。 どんなことがあっても信念を曲げることを許さなかったソクラテスは結局その処分を受け入れ毒ニンジンを飲んで死んでしまいます。 ※参考文献→http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%BD%E3%82%AF%E3%83%A9%E3%83%86%E3%82%B9
第一幕で稼いだ金をばらまくショナール。彼はヘンテコなバイトで大金(彼らにとっては)を稼いでくるんです。 そのバイトとは・・・ あるイギリス紳士風の男が自分の飼っているオウムの鳴き声がうるさくて仕方がなかった。 そこで紳士は、オウムの鳴き声がかき消されるよう音楽を演奏し続ける音楽家を探したのです。 雇われて三日三晩演奏をし続けたショナールはやってられなくなり、 とうとうオウムにパセリを食べさせ毒殺(?)してしまうのです。
「やかましくしゃべりたてたオウムを毒殺する」という行為を上記のソクラテスの死刑と引っ掛けてしゃべっているんですね。 ショナールがそれほど読書家だったとは思えないので、 おそらくいつかコルリーネが偉そうに語っていた『ソクラテス』を覚えていたのだと思います。
この他にも第2幕では『ホラティウス』や『サロメ』(コルリーネが「サラミ」と掛けて叫びます)なども登場します。 ほんの少しだけ勉強してこの「ラ・ボエーム」を観るとより楽しめます。 これもプッチーニらによるちょっとした「遊び(オマケ)」だったりするわけです。
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