舞台裏日記
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2004/05/29(土) 「R・STRAUSSの夕べ」公演終了
夏のような強い日差しの中、長い坂道を上って多くの方が会場に足をお運びくださいました。
僕は前日28日に熊谷で合唱の指導があったので、そのまま実家に泊まり、父と共に車で会場入り。
実は前の晩に父に少しレッスンをしてもらい、だいぶいい状態で今日の本番にのぞむことができました。

リハは会場の音響に少々驚いてしまい、慣れるまで時間がかかりました。
照明も入り、すごく不思議な空間でした。

学生時代はドイツリートばかり勉強していたのに、ステージで歌うのは今回が初めて。しかも僕がクラシックを好きになったきっかけとなった作曲家R・STRAUSS・・・。うれしかったです。

父と親子で作曲家の最初の歌曲集作品10の8曲を4曲ずつ歌いました。
1曲目「Zueignung:献呈」はこの作曲家の歌曲の中でも最もポピュラーな曲。作曲家も言っているようにこの曲はテノールが歌うべき曲なんですが、あえて父にお願いして僕が歌わせてもらいました。この歌曲集は作曲者が18歳の時に初めて書いた曲。若さ溢れるこの曲をどうしても若造の僕に歌わせてもらいたかったんです。・・・学生時代に歌っていた曲だったせいか、ややその頃の声に戻り気味。気負いもあってか少し硬い声になってしまいました。

2曲目「Nichts」、3曲目「Nacht」は父にバトンタッチ。僕はそのまま舞台に残り下手に置かれた椅子に座って聴いていました。
父のドイツ語のさばきと言葉から紡ぎだされるメロディのフレーズ感に圧巻。1曲目で声に頼ってしまった自分の歌に反省。

選手交代でここから難曲が続きます。4曲目「Die Georgine:ダリア」、5曲目「Geduld:忍耐」
この歌曲集は歌曲を書く予定のなかったシュトラウスが、ワーグナーの楽劇「トリスタンとイゾルデ」の総譜を見て、その影響で作曲した作品。
「Die Georgine」は"周りの人よりも遅くにやってきた恋。早くとも遅くとも恋の純粋さはより崇高なものである"と歌い、「Geduld」は"日ごと純粋さを失ってゆく女性に対して僕の純粋な心はたった1つの恋、たった1つのキスを大切にする"と歌う。
どちらもワーグナーの半音階旋律とブラームスの重厚な和音が融合された壮大な曲でした。まだ曲の完成度としては洗練されておらず、むしろ若い作曲家の意欲的な挑戦がみなぎっています。F・ディスカウの録音では実に深みのある細かい表現がなされていましたが、敢えてもっと直情的で勢いのある曲として歌いました。
声もだいぶ安定してきて集中して歌えました。

6曲目「Die Verschwiegenen」は再び父。ヴォルフを彷彿させる朗唱的な短い曲。調性は崩壊しかけています。

僕の最後の曲。7曲目「Die Zeitlose:イヌサフラン」は今までで一番いい声で歌えました。これまでの勉強の集大成が発揮できたと思います。"美しい恋には毒がある"と歌うのですが、その表と裏を表現する転調が見事です。この歌曲集の中で最も作曲者の魅力が凝縮された名曲だと思う・・・。

8曲目「Allerseelen」は今は亡き(本当に相手が死んでいるのかどうかは疑問ですが)愛しの人へ歌う歌。しっとりとした前奏から一語一語丹念に言葉をつむぐように父が歌っていきました。実は脇で聴いていて感動してしまっていた僕。

今回は本当に緊張しました。そしてすごく疲れました。
ドイツリートってオペラとは全く違う神経で歌う感じ。
でも一応の達成感を久々に感じることのできたステージでした。
もちろん課題も見えて、ますます頑張りたいと思います。

なにより終演後のお客様からの暖かいお言葉に、
改めて僕は歌を歌う喜びを思い出させていただきました。

↓カーテンコールの様子。一番左がボク。隣りは父です。


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