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2004/07/09(金)
ベーレンタール:多田武彦「雨」
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今日は第5曲「雨の日に見る」を練習しました。 終曲の名曲「雨」の前に歌われる、 この組曲の最大のクライマックスがこの「雨の日に見る」です。
水墨画のような薄暗い世界の中に生き生きと輝くザボン(グレープフルーツのようなみかん)。 その輝きを目にした「私」は白昼夢のように自分の凍えた心を見出します。
声は出ず、電線のように引きつった私の心。 枯れ木のように震え、身体は凍え、そんな冷え切った私。 ・・・なぜこんなことになってしまったのか・・・
そうだ!私は祈りを忘れている。 そうして私はただありのままの世界を見る。 ほのぐらい雨のかげの中にぽっかりザボンが浮かぶのを、輝くのを・・・ 冬、ほのぐらい雨の日に見た、その輝くようなザボンのように、 この私も「生きている」ではないか! みずみずしく、生き生きと私も輝きながら生きていこう! と決意する歌です。
そしてこの後に続く終曲「雨」で「私」は 生きる喜び、そしてその先の死のためにしっかりと生きていくのでした。
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