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2006/05/07(日)
順調に回復
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今日は昼に「ルチア」の音楽稽古。 うん…声はだいぶ回復してきた。
譜読みはほぼ完成。 ここからは明確な役作りと、骨太な心理描写を声でしかなきゃ。 まだまだ甘さがあるのです…。
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今日、歌っていて感じたんだけど、 このオペラは本当に心理劇だなぁ〜。 善も悪もない世界…何か得たいの知れない、時代という実体のないものに、 全ての人物が振り回されている。
「アンドレア・シェニエ」をやっていたときにもあった…。 フランス革命という、血が血を求める狂気の時代。
もしエンリーコが強欲で計算高い男だったら、 アシュトン家は衰退などしなかったろう。 そうではなかったからエンリーコは「家」というものに振り回されなければならなかった。 フィナーレで後悔に打ちひしがれた。 彼は必死に何かを背負って生きているのだ。 妹をつかって政略結婚を図ることなど、 たとえばマクベスが国王を暗殺したことに比べれば、何の罪もない。
ライモンドはフィナーレでノルマンノに対して、 「お前の悪知恵がこの悲劇を招いたのだ」と言うが、 これも見当違いな言葉だ。 ノルマンノは実に優秀な部下だ。 ルチアとエドガルドの関係を知り、二人を引き裂くのは当然のことだ。
この物語には善も悪もないのだ。 敢えて言うなら「時代」と「家」に翻弄された人々の物語だ。 誰も幸福になりえない時代。 全ての人物が何にもすがることができず、何かに振り回された時代の物語。
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