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2012/07/10(火)
浴衣
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昔、当日の思い付きで浴衣を着てライブに出演したことがあった。 夏の日。
ステージに一緒にあがるピアノボーカルの女の子と、浴衣を色違いで購入して…六本木のライブハウスだった。 両親がまだ赤ちゃんだった甥っ子を抱っこしながら時間に間に合うように急いで電車を乗り継いで六本木まで駆けつけてくれた。 その日着るはずだったライブ衣装を家に忘れてきてしまったため、届けにきてくれたのだ。 …にも関わらず、私は、『遅いよ!』などと不満を口にした覚えがある。 しかもすでにライブ衣装を浴衣に変えていた。
なんてひどいことを言ったのか、 慣れない電車に乗り、はるばる片道1時間30分かけて、たった30分のライブを見るために、衣装を届けるために来てくれた親に、伝えるべきは、不満ではなく感謝の言葉なのに。
優しい対応ができなかった。 私もいっぱいいっぱいだったのか、懐が狭かった。
この日のことをたまに思い出すと今でも胸が痛み、涙ぐんでしまう。 きっとそんなことを親は忘れてしまっていると思う。 言葉は傷となって残る。 愚かな自分だから、心に刻んでいる言葉がある。
とある本に書いてあった、 『言葉を飲み込んで消化不良になった人はいない』
自分がすっきりしたいから何でも思ったことを口に出してしまいがちだけれど、 一旦、言葉を飲み込む。 メールも一緒。 勢いで言ったりしない。 冷静になってから、なぜ不満なのかを考えても遅くない。 心配だったからなのかもしれないし、 寂しかった気持ちを攻めの言葉にしていたのかもしれない。
私は大事な人を攻めたりしたくない。
攻める方が負けなのだ。
浴衣を見るとよみがえるチクリとした思い出。
ずっと浴衣は着ていなかったけど、 今年は数年ぶりに着てみようと思う。
今日、母に選んでもらった 桜の花柄の浴衣で。
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