●○脳内days○●
恋とか とか
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2000/01/31(月) 放浪人的青春日記〜保健室編〜9
「やった!俺ラーメン食いたい!」

「はいはいっ」

すっかり駿のペースだが、不思議と気にならない。
それよりも、駿が屈託のない笑顔を自分に向けてくれることが、槙には嬉しかった。

「じゃあ各自荷物取りに行った後玄関に集合ってことでよろしいですか駿ちゃんさん」

「オッケイです槙さんちゃん」

おかしな日本語を交わしつつ、お互い笑いながら一旦別れる。


「あ」

教室に戻った槙は、ふと部活のこと思い出す。が、

(…ま、いっか)


部活<駿ちゃん


槙の頭は単純明快。
その足は真っ直ぐ玄関に向かった。

2000/01/30(日) 放浪人的青春日記〜保健室編〜8
同じように槙も気づかなかった。その時駿が自分の何気ない一言で再び泣きそうになっていたことを。



「腹へったなー」

きゅるる…

槙が言うと同時に駿の腹が鳴る。

「あはっ、反応いいね駿ちゃん」

「うっさい!」

度重なる失態に駿の顔がみるみるうちに赤くなる。

(可愛いなぁ…)

何となく口にはせず、心の中で呟く。

「んじゃーどっか飯食いに行きますか!」

「ゴチになります!」

「いやいやいや、奢るとか言ってないし」

「じゃ帰る」

「よ〜し今日はお兄さんがご馳走しちゃおーかな!」

2000/01/29(土) 放浪人的青春日記〜保健室編〜7
「…うおっ、何泣いてんだ俺!つか汗びっしょりだし!?きもちわり…」

「だから、怖い夢見てたんしょ?」

再び同じ質問を口にしながら槙は自分のシャツを引っ張り、涙と鼻水で汚れた駿の顔をゴシゴシと拭いてやる。

「ちょ、いーって!汚ね…」

「いーから。大人しくしてなさい」

「…あい」

有無を言わせない槙の態度に、駿はあっさりと抵抗を止めた。疲れていたせいもあるかもしれない。

「心細い時は甘えていーんだよ」

柄にもなく顔を赤らめて言う槙だが、その表情は目を塞がれている今の駿には見えない。

2000/01/28(金) 放浪人的青春日記〜保健室編〜6


「泣かないでよ…」

聞こえるはずもない相手にこぼした言の葉は何の意味も持たずに宙を舞う。

未だ止まりそうにない彼の涙を拭いたくて反射的に手をのばす、
と。

「…まき、さん…?」

「!」

頬に指が触れるか触れないかのところで名前を呼ばれ、虚ろな瞳と視線がかち合う。

「…怖い夢でも見てた?随分うなされてたけど」

平静を装い、出しかけた手を引っ込める。
一方駿はというと、まだ意識がはっきりしていないのか、返事も曖昧に目をこすりながらゆっくりと体を起こす。そして、ようやく自分の異変に気づいた。

2000/01/27(木) 放浪人的青春日記〜保健室編〜5
悪夢にうなされているのか、駿は額に汗を浮かべ、シーツの中で苦しそうにもがく。

「ちょ…大丈夫?駿ちゃ…」

見かねた槙が駿を起こそうと肩に手をかけた、その時。


ポツリ。


「…んじて…のに…」


涙。


「――……」


その光景に槙は絶句した。


どうして。


駿の涙など、今朝とっくに見ていたはずだ。
それなのに。


なぜこんなにも胸が痛む?


そんな疑問を抱くと同時に押し寄せたのは、どうしようもない切なさと、触れたいと思う衝動。


涙をすくいたい。

ただ、それだけ。

2000/01/26(水) 放浪人的青春日記〜保健室編〜4
(隣で寝てたのは厚志のはず…)

そう思い返すが、聞こえてきた呻き声は明らかに厚志のものではなかった。

ゴクリ。
生唾を飲み込み、音を殺してベッドから抜け出る。恐怖と好奇心が交差する中、槙は恐る恐る隣のカーテンに手をかけた。

シャー…

「あ…!」

ベッドに横たわる人物を確認すると同時に、驚きの声を漏らす。
そこにいたのは紛れもなく自分を保健室送りにした張本人、駿であった。

「なぁんだ駿ちゃんか…マジびびった〜」

そう槙が安堵の胸をなでおろしていると、駿が再び呻き声をあげる。

「んぅ…う…」

2000/01/25(火) 放浪人的青春日記〜保健室編〜3
「ん…」

暮れ始めた夕陽が空全体を美しい赤に染める頃、保健室ではようやく眠りから覚めた人物の動く影1つ。

「ふぁ…っあ〜、よく寝た…ってもう夕方かよ!?」

寝起き早々自らつっこみ(三村風)をかますその男。その正体は、駿に肘打ちを食らい白目を向いていた、あの変態節操ナシ軟派男(by厚志)槙であった。

「あーマジやべぇ…怒ってるだろーな寛さん…」

余程その寛さんという人物が怖いのか、真っ青になって頭を抱えこむ。
と、その時。

「…っ、うぁ…っ」

「…?!」

突然聞こえてきた誰かの呻き声。

2000/01/24(月) 放浪人的青春日記〜保健室編〜2
じゃあまたね、と手を振って教室に戻って行く宇佐を見送った後、駿は再び中に入り、ベッドのある方向に目を向ける。
窓側に空いているベッドが1つと、その隣にカーテンがひかれてあるベッドがもう1つ。

(誰か寝てんのかな…)

そう思った駿は、なるべく物音をたてないよう空いているベッドの方に近付き、そっとカーテンを閉める。

(なんか…やたら疲れた…)

重い体をベッドに沈め、暫く天井を見つめた後、ゆっくり目を閉じる。

遠くに聞こえる人のざわつきも、今は心地いい。

暖かい午後の空気に包まれ、駿は眠りついた。

2000/01/23(日) 放浪人的青春日記〜保健室編〜1
「失礼しまぁーす」
ガラリ。
ノックもなしに宇佐が保健室のドアを開ける。
そこに先生らしき人物は見あたらず、部屋の中は静まり返っていた。
「なぁんだ、裕ちゃんいないじゃん。言って損したー」
「裕ちゃん?」
「ここの保健医。先生のくせにサボリ魔でさー」
そう言いながら宇佐は駿を中へ入るよう促す。それと同時に5限目の予鈴が鳴り始めた。

キーンコーンカーンコーン…

「げっ!もぉそんな時間かよ!」
「うっさん、教室戻りなよ。後は俺1人で大丈夫だから」
「そう?悪ぃね!俺出席日数ヤベーから…」

2000/01/22(土) 放浪人的青春日記・21
「駿ちゃん、疲れたんならちょっと保健室で休んじゃえば?俺案内するし」
「あ…うん。ありがと、うっさん」

どーいたしまして、とはにかんだ笑顔で返す宇佐に、罪悪感からか心が痛む。さっきまで彼の優しさすら疑っていたのだから。

駿は後ろめたい気持ちで一杯だった。

「じゃあそーゆーワケだから。3人共ちゃんとライブの案考えとけよ〜!」
「「「うぃ〜ムッシュ!」」」

返事だけは立派な3人を残し、宇佐と駿はその場を後にした。








保健室編に続く。(←こういうの書いてみたかっただけだったりして)

1月絵日記の続き


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