しゃる生態
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2008/01/31(木) ねむれた!
相方とGXについて語ったりしたら、大分マシに眠れました。
すごいやGX。

そう、昨日日記で「誰か私に萌えを!」と叫んだら、
すぐそこにありました萌え。わかりやすい萌え。
おかえりヨハン!
そして何だこいつら。

電話越しに、相方の録画したののクライマックスシーンと、次回予告の声を聞いたのですが、感想は
何だこいつら。
でした。

うん、何だこれ。

とりあえず、ヨハンはヨハンでよかった。
テンションはあがりました。

そして、「距離が近いよ」といわれて、
「そんな距離、普通に過ちが起こりそうだ」
「っていうか普通に過つね」
という会話が自然に。

まあでも、ここでいつも通りなのがヨハンだと思うので、よかったと思ってます。



そして、眠ろうとした夜二時、ドラマの再放送「おとぎのくに」(意訳)を見てしまったという。原作は萌えました。が、ドラマはもう違う話だったんですね。
などと思いながら睡眠。

そして明日から二月。


あ、すごいどうでもいい余談を二つばかり。
・万丈目の、ジャージ姿はぇろいと思います。この前美人になったなあと思ったんです。そしてちなみに私はGXはジャージ萌えであるらしい。あと十代ふくらはぎ(ていうかふくらはぎ)。相方が、ゆべるんの声がえろいと言っていたので、私のGxエロポイントをば。

・今日、たまたま座った食堂(雰囲気は、華やかさ・おしゃれとは程遠い寧ろ対極に位置する)の席、その机ひとつ向こうで、やたらいちゃついている二人がいて、なんだかびっくりしました。うん、びっくりした。

2008/01/30(水) ねむる
なぜか、
ここ数日寝つきが悪く、理由などわかりきっているので、どうにかなんないかなあとは思っています。
日々が過ぎるのを待つしかないのですが、実際日々は過ぎてほしくないというわかりやすいジレンマです。

だれか、私にわかりやすく激しい萌えを…!
ひいづる天子なみの萌えを…(バカ)。


とりあえず今日は、GXがどんななのか気になります。

2008/01/28(月) バトン
ほんのちょっと、拍手の続きとかも書いたりしてます。
捏造甚だしい…。





バトンもらったので、まず十代から。

お題:遊城十代

1:いつからあなたはこの方が好き?
三期後半、もう一回覇王になって瞳が金色になったりするあたりから。一期の彼とかは私にはちょっと眩しすぎました…。

2:この方の魅力について語ってください。
割と、顔と髪型が好き(身もふたもない)。あと、私には持ち得ない思考回路とか感情の行き方とかがぞくぞくさせられます。

3:この方の属性を一言で!
少年。今はこども、じゃなく、かといって大人でもない、でも、って感じで今青い春の只中にいるような。たぶん、こういう人はいつまでたっても若い。

4:この方の周りの人に1日なれます。誰になって何をしますか?
名前度忘れしたんですが、あのレッド寮の猫。あれになって一日ついて回ります。何するでもなく。

5:この方のイメージカラーは?
闇に浮かぶ色。あくまで闇を背景として、金〜赤、紫などの混合、みたいな。
このバトンやってて気づいたんですけど、私の中の十代のイメージって打ち上げ花火なようです。

6:この方に似合いそうな季節は?
夏。真夏の真昼とか。暑い、ってだれてたり、汗が滲んでたり。

7:この方のイメージフラワーは?
なぜか菊。大輪の白。ああ、花火なのかな。夜空に咲く色とりどりの刹那の。

8:最後に一言!
ゆべるんとかオネストとかは、心の部屋に住んでるんでしょうか。

9:好きな人を聞いてみたい人を5人と言わず10人(お題つき)
 10人といわずアンカーで。……相方と違って、オンでの知り合いなど皆無です……。ほんとに…。あ、puriさんみてらしたら、斎王でどうぞ。スルー可です。もしかしてもうやってらっしゃったりして。

2008/01/27(日) きょうは
久しぶりに買い物に行きました。
といってもメインの目的は、シャンプー・歯磨きなどの生活用品ですが、量を買うとストレス発散しますね!
でも、また電球を忘れました。
今、玄関と洗面所付近のが切れたままです(切れすぎ)。

あと、片付けを決行したさい、眼鏡をどこかに紛失してしまい、困ってます。ほんとダメな人間 だ。


そして、帰宅時には、
ウテナの結末を知り、ものすごく見たくなっており、
さらにTQ3冊がついてきてました。
現実逃避の最たるものです。
が、私来週前半にはまた絶対軽く落ち込んでるので、浮上するための漫画か何か、見繕っておきたい(この前落ち込んだときは例のひいづるところのうまやどのおうじ一気読み、とかで浮上した女)。

2008/01/26(土) 感謝
>拍手レス
感想ありがとうございます!
気に入っていただけたようでなによりです。
エド&斎王の子供時代は、エドはまったくの子供で、でも斎王は子供といえどエドからしたら大人に近いけど、でも子供、みたいなそういう微妙な感じに萌えてます。
それで妄想がとまらないので、また近いうちに子供時代は書きたいです。
こんなエドが見たいとか斎王が見たいとかありましたらお気軽にどうぞ!




一日が48時間だったらいいのに。
と思ったりする土曜。
48時間だったら、勉強してなおかつ萌えにもエネルギーを向けられる…(夢想)。
とりあえず、更新が鈍いのは、勉強しないといけないのが一番の原因ですが、高見さん(マイパソ)で下書きが出来ないのも一因です…。

2008/01/25(金) ふえつづけ
アンケが増え続けており、「え、これ本当に!?」と非常に驚いております。
ありがたいことです。


そして、GX。
前回はみれましたが、今回は相方の感想のみ。
なので、
「斎王が負けて黒いものに包まれて浮かびあがり、みずちさんも現れてふたりで消えていった」
というあらすじしか知らず、
泣き所がいまいちわかりません(あとで切ないこととかは聞きました)。
あ、最後の斎王の台詞は電話ごしに聞きました。

とりあえず、
私の中の斎王像はそんなに間違っていないことは、確認できたような気はしました。
そして、やはりKCの未来が心配です。
ほら、アルカトラズと本社は何か違うじゃない…(社長からしたら一緒かもしれないという気もしてきた)。

あと、エドが消えていないかどうかが非常に心配になってきました。この展開。

2008/01/24(木) かきやすいもの
相方と話になった、書きやすいキャラ。
私は概ねヘタレと感傷屋と片恋野郎が書きやすくてなりません。


高見さん(パソコン)は、本当に電源を維持するのが難しくなってきました。

2008/01/20(日) さむい
妹が住んでいる地域の最低気温は、私の住んでいるところの最高気温をほぼ毎日上回っており、ちょっとうらやましい日々です。

昨日は、更新するまでに高見さん(マイパソ)の電源が三回も落ち、いい加減新しいのを探しにいかなければとは思っています。
思ってはいます。


さて、エド斎は、とりあえず三月のオンリーではコピ本になりそうです。
で、その次のイベントでオフセを目標に。
オンリーは短〜中篇くらいを目指します(宣言)。
……さあ自分の首を絞め始めました。

ところで、昨日は久しぶりに、O O見れました。
EDの、あの風景の痛々しさが際立ってくるような感じですね…。
髪を切るロクオンは好きだ。
髪を切られるせっちゃんも思いの外すきだ。
でも掛け算にはならない。

2008/01/19(土) 更新
更新しました。いろいろと。
アイシのパラレルは、とにかく危険だと伝えておきます。
エド斎や銀たまとは、全く別の方向に突っ走ってます。


GX。
それで昨日みました。
もうどうしたらいいのか。
とりあえず、笑って叫んで叫んでました。
斎王が正気でそこはよかったです。あの服は何だとか、バイクとトラックってやけに行動的だな、とか、
「愚かなり十代」って…とか、やっぱりやけに抑揚調なんだ、とか、
いろいろ思いましたが、その辺は話に書こうと思います。
斎王って、雄雄しい子○声だったり、生真面目で自分を責めがちだったり、爆弾使えたり、バイク飛ばせたり、抑揚調だったり、
髪後ろから見たら日本人形みたいだったり、やっぱりキャラとして色々バランス悪いと思うのですが、そこがむしろぞくぞくします。

あと、KCの未来が気になります。社長…!

2008/01/18(金) できない
昨日家に帰って、さああとアップしたらいいだけだ、と思ったら、なぜかソフトの調子が悪く、全然アップできませんでした…。

しかも今データを忘れてきてしまったので相方に送ってアップを頼もうにもできず、
今日は夕方から気の進まない飲み会みたいなものがあってまたできないと思われます。
……何かほかのこと考えよう。


あと、部屋を片付けました。まだまだ散らかってますが、
汚部屋からは脱出です。はあすっきりした。
片付け始めは台所か風呂からと雑誌に書いてありましたが、確かに。


そう、それで、
みたんです。
斎王。
……こう、斎王は、雄雄しい子○声だったり、自罰的だったり、バイクとかトラック乗り回したり、爆弾仕掛けちゃったり、やたら抑揚調だったり、キャラとしては私には結構バランス悪くも見えるのですが、それがすきです。
もしかすると、子○声なのにどうみても受っていうのが私的にびっくりなのかもしれない。
こういう斎王を知ったらエドは傷つくかもしれませんが、ちょっとどこかで安心するかもしれないなと思いました。安心してるなんて気づいたら落ち込みますが。


センター試験のころって毎年寒くなりますね。
受験生のかたは寒さには気をつけてがんばってください。

2008/01/16(水) わあ…!
興味を持っていただけるかは本当に賭けだと思うエド斎本、アンケご協力ありがとうございます!

うれしくなって、オフ用のメモとか始めました。
オンリーが三月、私が割と自由な身になれるのは二月後半一週間、なのでこれは今からちゃんと書かないと間に合わないだろう、と。今日気づきました(遅い)。

そんなわけで、今日はほんのちょっとエド斎について語らせていただきます。
属性でいうと、
斎王は絶対的な受だと思ってますが、エドは相対的な受なので、相手によっては受にもなります(私の脳内では)。
十代相手とかだと特に。(実は私は亮&エドがすきです)

とりあえず、前提としては、
破滅の光は、アレは斎王ではないので忘れよう、です。

あの頬のこけた顔に縦線だらけ(闇マリクさま級)は、忘れよう。

それがエド斎への第一歩。

エド斎の何が萌えかというと具体的には難しいのですが、
すれ違いラブを書いてみたいぜ、と思ってます。

ていうか相方から「エドの子供時代で」とのリクエストで拍手用SS書いたら止まらなくなったんです…。


なので、今日どうなるのかが非常に気になります。


それから、拍手本当にありがとうございます!!
感謝感謝です。

2008/01/15(火) うでとかゆびとか
久しぶりにシャーペンとかペンを長時間握ったせいで、腱鞘炎に気をつけた方がいいようです。
手首あたりの感覚がおかしい。

明日あたりは本当に更新したいです。
いろいろ整理して。
文章自体はできてるものも割とあるんです…アレとかソレとか。

2008/01/14(月) 打ち上げ
無国籍な鍋をして、その後ティーポットで燗をつけるという飲み会の〆は、「耳をす○せば」鑑賞会でした。
私、あれ、それこそあの年齢くらいのときに見たっきりで、当時は何がいいのかわからなかったのですが、今見るといいですね…その場にいた全員が悲鳴をあげてのたうちまわり、泣きそうでした…よかった…。

ああいう、ヨハ十もありだな…(そこにいく)。

2008/01/12(土) 終わった!
ちょっと解放されました。
すごく安らかな気分で今は眠りにつけます。また一週間くらいしたらそんなこと言ってられなくなるのかもしれませんが今はとにかく安らかです。

2008/01/09(水) ふう
GXがどうだとか、WJがどうだとか、
早く考えたいです……。

私は、話でもなんでも、
書きたいくくだりとか、雰囲気とか、もっというなら書きたい表現とか文とかから書き始めるので、プロットをほとんどきれず、最初にイメージした通りに話が進んで終わったことなど一度もないのですが、
今そんな自分が猛烈にいやです。
提出期限数日前とかに構成とかから変えるって冒険すぎるぜ…!

2008/01/08(火) サマー・サマー・ヴァケイション!!B
 過疎が進む町は、水産物と釣り客、観光客でどうにかなっている。
 桜庭が転校してきた小学三年生の当時、既に高齢化は進行していた。それまで、衛星都市の勤め人が多い住宅街しか知らなかった桜庭は、年寄りの多さ若者の少なさに恐れさえ抱いた。
 まず一歩電車から降りて潮の匂いがする町だと思った。
 何時間も電車に揺られ、離婚した母親が桜庭を連れて出戻ってきた町は、時間が流れていないようだった。昼日中の死んだような人の少なさにも、田舎の熱く淀んだような空気にも、桜庭は恐怖さえ抱いた。
 お気に入りのスポーツブランドのリュックを背負い、遠くに見える海には見たことのない古びた船が舳先を並べていた。全く見も知らぬ場所に来たと体中が緊張に張りつめ、手に汗がにじんだ。
 桜庭は昨日のことのように覚えている。
 祖父母の家は藺草の匂いと古い家の匂いがした。
 初めて見る家は、それまで住んでいたマンションの新しさとは正反対だった。どこかで聞いた記憶しかない木造平屋建ての古い家。一階だけの家があるということが、桜庭にはとんでもなく時代遅れに思えた。古い匂いのしみついた暗い緑のカーペットの床が桜庭は恐ろしかった。風呂は広かったが、旧式でタイルの浴槽は、どこか綺麗でなく冷えやすく、トイレは水洗でもない。
 そして、タイル敷きの寒い風呂と照明の都合でドアを閉めると真っ暗に近いトイレ、それらをつなぐ廊下。電気を点けていないと廊下は昼でも先が見通せないほど暗かった。黒光りする床がいつもどこかにできる影から手を伸ばして、走り、背中から飲み込みそうで、引越しからしばらく、桜庭は言い知れない恐怖のうちに寝起きした。母親は離婚のことで桜庭をかまえるような状態でなかったし、結婚してから殆ど顔も見せなかった末娘が突然出戻ってきたことで、祖父母と母の間はまだぎくしゃくして桜庭には親しみにくかった。
 今、祖父母と母、桜庭の四人が生活していくには足りる。
 高校の近くには歩けばコンビニもあったし電車で三十分揺られればデパートもあった。特急でない普通電車は数時間に一本しか通らないが、電車が近くを通るだけまだ随分と便利だった。山の方では車無しでは何も立ち行かない。
 越してきて九年、この港町で暮らしていくことには慣れたが、桜庭はどこか完全には馴染めていないままだった。将来を、桜庭は、この町で祖父母を継いで農業をやっていくと決めることもできなかった。骨を埋めるような気にはまだなれない。かといって、もう、小学生の頃に住んでいた場所にも戻れない。都会に行きたいとも思う。けれども、やりたいことも目的もない。
「桜庭、そんなところに帽子もかぶらずにいたら日射病か熱中症だ」
 不意に後方から影ができて、頭に何か軽いものが置かれた。
「高見さん」
「それ、かぶっておけ」
 振り返ると、高見が載せたキャップが落ちた。ありがたくかぶり直し、桜庭はうだる熱の中で伸びをして疑問を口に出した。
「高見さん、どーしたんですか」
 一年先輩の高見は、今年受験生だ。夏に入ってからは去年までのように海に来ることも殆どなかった。
「うん、若菜がいるだろう。ちょっと息抜きに」
「あ、そっか。仲いいですよね」
「そんなこともないよ」
 高見は静かに笑って、はしゃぐ桜庭のクラスメートたちを見やった。水着の若菜たちがはしゃいでいる声が、波の音と共に途切れ途切れに聞こえる。高見と若菜は付き合っている。今年の冬のバレンタインでくっついたのだ。二人も成績優秀でお似合いだといわれていた。
 胸が痛い。桜庭は顔をしかめ、膝の間に顔を埋めた。高見が隣に腰を下ろす気配がする。
「……行かないんですか」
「邪魔しても悪いよ。それに」
 すいと指が伸びて桜庭の額に触れた。
「桜庭の方が具合が悪そうだ」
「……そんなこと」
 高見は、色が白く長い指を持っている。高見に対しては、桜庭は男に対するような緊張を抱かずに済んだ。
「……若菜、可愛いっすよね」
「やらないよ。……そういえば、桜庭は若菜と付き合ったことあるんだっけ」
「あんなの、付き合った内に入らないですよ」
 ふざけて覗き込んでくる高見に、桜庭は苦笑して返した。
 若菜と桜庭が付き合ったのは、中学二年生の夏の始まりだった。
 学年一可愛いと言われていた若菜と、桜庭は元々仲が良かった。桜庭が引っ越してきた当時から、若菜はくるくるとよく気がついて人を和ませる明るい女の子だった。中学生になって一緒にいるところをよくからかわれ、気づいたら公然と付き合っていることになっていた。
 気恥ずかしくて、同時に自慢したいような気分で、冷やかされる中二人で下校した。それでも、盆踊りの夜店で手をつなぐくらいが精一杯で、それ以上のことは思いもつかなかった。それが原因でもないだろうが、冬が来るまでに結局自然消滅していた。その頃になると、周囲もそれくらいで騒ぎ立てることはなくなっていた。
 若菜よりも、あの頃は進が訳も分からず気になってどうしようもなかった。
 今ならはっきり言える。進が好きだ。若菜と付き合っていたときも、全く若菜に対して何かしたいとは思わなかった。別れてからおかしいと思った。
 進が好きだ。男が好きだ。抱かれたい。
「参加しないのか」
「はい、ちょっと気分悪くて」
 違うクラスの進は、今日はいない。もしあの輪の中に居たら、どんな体調でも少しでも進の近くにいるだろう。進を近くに見ていたい。
「そうか、じゃあその帽子かぶっとけ」
「はい、でも俺そろそろ帰ります。宿題しないと」
 自分が気持ち悪い。
「桜庭?」
 帽子を高見に押し付けて返し、桜庭はサンダルで駆けた。
 防波堤の近くに停めてあった自転車で走る。高見が呼び止める声が聞こえたが振り返らなかった。
 影の短い日向を山の方に走る。高校を通り過ぎるときには、校庭は乾ききって白っぽい砂埃を一歩ごとに巻き上げた。運動部の練習のかけ声がする。網戸だけで開け放しの家々からは耳に障るテレビの音が聞こえた。そういえば、もうすぐ甲子園だ。

2008/01/07(月) サマー・サマー・ヴァケイション!!A
7/23 @

 狭い砂浜でビーチバレーに興じていた筧が、時計を見て一人輪から抜けて桜庭のいる岩場の方に走ってくる。岩場の近くにある、防波堤から砂浜に下りるコンクリの階段を目指して、筧が太陽の方から駆けてくる。そのふくらはぎに目を奪われ、桜庭は慌てて足元の潮だまりに目を落とした。
「行かねぇのか」
 岩の陰で座り込んでいる桜庭に気づき、筧は桜庭を見下ろした。軽く息を弾ませている筧の、額に浮いていた汗を見て桜庭はとっさに身を引いた。この岩場は、クラスメートたちが遊んでいる狭い砂浜の北の終りになっていた。筧の肩を見ないように、桜庭は答えた。バレーをしている筧の、綺麗な筋肉を見てはいけない。
「うん、今日はちょっと」
「……そうか」
 桜庭は海に入る用意もしてきていない。それを目に留めたが、結局筧は何も言わなかった。
 ぼんやりと筧を見上げ、桜庭は軽く目を見張った。
「駿はその格好どうしたんだよ、」
 筧は白いタンクトップにバミューダ丈の藍色の海パンだ。
「……ちょっとな」
 決まり悪そうに筧は目を逸らした。珍しい。筧は、生まれてからずっとこの町で過ごしているにも関わらず海で泳げない。それが、他所から来た同じく海で泳げなかった桜庭と仲良くなったきっかけでもあった。自分が目を逸らしたことに気づいて筧は不機嫌そうに眉を寄せた。その様子に、桜庭には思いつくことがあった。口を開こうとして、ゆるく開いた胸の辺りに目をやってしまい、健康的な色に焼けた肌に乾く唾を飲み込んで、ようよう桜庭は尋ねた。
「駿、もしかして最近一緒にいる背高い人と約束?」
「ああ、あいつが泳ぎを教えるってうるさくて仕方ねえよ」
 筧の背後に、入道雲が立ち上がり、灼けるような白い砂と青い海が目を射る。ぎらぎらした夏しかない。
「へえ」
 桜庭は九年前に越してきたときから一度も、泳ぐ筧を見たことがない。きっかけは間違いなく、夏休みに入る直前から見かけることが多くなったあの金褐色の髪の青年だろう。二人が一緒に夕方の海にいるのを桜庭は見たことがあった。懐かしいような、侵し難い雰囲気が二人を包んでいた。
「かけい〜!早く来いよ!待ってんだかんな!」
 思い描いた途端、タイミングよく大声が耳に入った。筧よりも少し背の高い青年がぴょんぴょん、右手の方幅の狭い防波堤の上で跳ねている。その跳んだ高さはゆうに一メートルを超えていた。
「何考えてんだあのバカ」
 青くなって赤くなって、それからぐったりと筧は項垂れた。
「うわ、運動神経すごすぎ!名前何ていう人だっけ?何してる人?駿より背、高いよな」
「水町健悟。イルカの調教師しててこれから、しばらくしてこっちに住むらしい」
 興味だけで訊ねた桜庭に、ゆっくり筧は答えた。
「へえ。社会人なんだ、大学生くらいかと思った」
「もう二十七だ。」
「マジで!?若っ」
 驚嘆した桜庭の反応に、筧が嬉しそうに口元を上げた。筧自身が気づいているのか知らないが、筧が喜んだことが桜庭は分かった。珍しい。
「かけい〜」
ぶんぶん手を振る水町に、筧は仕方なさそうに小さく手を挙げ怒鳴った。
「飛び跳ねるな!」
ええー、と不服そうな水町に待ってろ、と叫び筧は「じゃあな」と桜庭に背を向けた。そして数歩も行かないうちに思い出したように振り返った。
「春人、俺大学行くことにした。そんで戻ってくる。」
「え、ええ!?初耳なんだけど、駿!」
「詳しいことはまた話す。じゃあな」
 迷いのない足取りで歩いていく筧の肩を見送り、桜庭は俯いた。日射しが腕と髪を焼く。
 熱い。寒い。熱が肌に篭る。自己嫌悪が血管を駆け巡る。浅ましい。眠たくて堪らないときの、吸引力のような、落下するに近い快感の芽が這い出てくる。
 筧相手に、それを覚えてしまった。ずっと、ただの仲の良い友達以上の何でもない筧に。
 筧は小学校の頃からの遊び仲間で、進ほど無口でも頑固でもなく気が合った。
 進を特別視する桜庭にとって、適当に言い合える筧がいわゆる親友だった。その筧を、一瞬でもそういう目で見てしまったそのどうしようもなさと、桜庭がくだらないことに囚われている間に筧は将来のことを考えているという衝に、無防備な腹に拳を入れられた気がした。

2008/01/06(日) サマー・サマー・ヴァケイション!!@
 夏になると、影が濃くなり、アスファルトの灰色はうすくなる。
 油絵の具の盛り上がりのように、倦んだ緑の、音もなくかすかに揺れ、ばかみたいに色がうすい逃げ水が見える。
 桜庭は坂道の途中で自転車から降り、滲む汗を片手で拭い、狭い道路のガードレールの向こうを見下ろした。そこからは、山と海に囲まれた小さな町の平地部分が一望できる。
 海岸線に程近く船の影があちこちにあり、水平線上をコンテナ船がゆっくり動いていた。昼の海は、恐ろしい青と灰色を交互に照り返し、細かい粒子状に眩然と光が跳ね回っている。波が三角に打っていた。夏が来たのだ。









サマー・サマー・ヴァケイション!!

2008/01/04(金) シグナル・レッド05
シグナル・レッド05






今日、龍麻が退院する。
誰がどう見ても、たった五日前に生死の境をさまよったとは信じられない驚異の回復力だ。心停止したのにクリスマスイヴにはもう闘える。安堵だけではなかった。
今日は退院祝いに真神の面々と楽しむらしい。
如月は、というとさすがにそれに加わるほど厚顔でもない。
壬生とは、龍麻が斬られたあの日の朝話したきりで、後は姿も見ていない。
こちらはこちらで龍麻が倒れている間も忙しかったし、壬生も何やら他の事情で奔走しているようだった。
 旧校舎も、龍麻があの調子では誰も行こうかとは言わず、勝手に潜っている面々はいるようだったが、如月は参加していない。
 そして、と如月は己をふりかえり溜息をついた。溜息でこのわだかまった何かが消えていくなら、身体は今頃随分軽くなっている。実際にはますます重く感じられた。
 日が暮れる。夜が来る。時間が過ぎる。過ぎていく。
実は壬生が来るかと思って料理も一人で済ますには明らかに食べきれないほど作ってしまった。保存のきくものが殆どなのは、僅かながら残る言い訳だ。笑われるだろうが。
壬生の予定は祝祭日などお構いなしだから、いつ来るともわからないのにこれは自分でもバカだ、と。だいたい、神の子の生誕を祝う日など彼が祝うはずもなく、如月の家は仏教だ。バカらしい。
 高校でも仲間内でも、皆がやけに浮かれていて、それにいつのまにか影響されていたようだ。
 そんなことが分かってもどうしようもない。
受話器を取り上げては、躊躇う。
番号を回して、来ないか、と誘うだけだ。壬生は笑うだろうが、おそらく暇なら来てくれる。忙しいなら。
そこで如月の指が止まる。如月は、壬生の番号は知っていたが、今まで一度もかけたことがない。
壬生がふらふらと、約束などなくてやってきたから呼び出す必要などなかった。そもそも如月が壬生に電話するという状況を、如月は今まで考えたこともなかった。
気まずい。あのときの短絡的な思考は、振り返ると酔っ払いに似ている。如月が仮眠を取って落ち着きを取り戻した頃には壬生の姿は既に無く、それからは目まぐるしく状況が動き、深く考え込んでいられるような余裕はなかった。
自分が何を言おうとしたか、おそらく壬生は分かっている。それに、あのときやはり龍麻以外考えられないと思ったのに。
今自分がしようとしていることは何だ。
壬生が何を思っているのか、如月はあまり知らない。知らないでいいかと思う。
例えば、壬生はいつまでも自分のことを「如月さん」と呼ぶ。丁寧語も消えない。村雨に対しても紫暮に対してもそうだ。京一は蓬莱寺、龍麻は龍麻。違いは。
ジリリン、といきなり静寂を横殴りに破った。
びく、と飛び上がりそうになりながら、如月は受話器に手を伸ばした。
「如月さん」
心臓が飛び出るかと思った。
「壬生、か」
都合が良すぎる。
「はい」
「その、久しぶりだな、元気か?」
「何改まってるんです」
くつくつと笑いを堪える声が耳元でした。
 丁度よかった、今から来ないか。
 それだけを言おう。
「如月さん」
 痞えた咽喉に勢いをつけようとほんの僅か黙った如月は、何となくはしゃいだような壬生に呼びかけられた。
「ちょっと外に出てきてみてください。」
「外?君まさか家の外にいるのか」
慌てて気配を探ろうとした如月は、
「いいからちょっと」
急かすような浮かれたようなそれに縁側に走った。
「……君、」
「雪ですよ雪。この分じゃ積もるかもしれないですね」
楽しそうに表情を綻ばせた壬生は、傘もなく肩や髪に雪を積もらせて空を指した。いつのまにか庭は雪化粧している。そこに立つ壬生が珍しく年相応に幼く見え、如月は咽喉の奥でくくっと笑った。
「そうだな、家の中にいると気づいていなかった。」
「……」
壬生が眼を見張って、それからまた今度は笑った。
「綺麗ですね。」
「……そうだな」
雪は確かに美しく、白く無垢なものを連想させる。自分たちには似合わない。
麻痺していく。人を殺すということに心が動かなくなっていく。
それでも壬生は雪だの紅葉だのをよく話題にした。如月の家の庭の移ろいを飽きずに眺めていた。
「あなたに似ている」
唐突に降ってきた文句に引き戻され、如月は絶句した。とにかくこの男は、恥ずかしい。聞く方が居た堪れないセリフをさらりと吐く。
それが呼び水になった。今なら言える。容易く咽喉が開いた。
「ここまで来たんだ、寄っていくといい。夕食も、作りすぎたんだ」
ありがとうございます、と無表情に頷くかとの予想を裏切り、壬生は何とも言えない表情で白い箱を差し出した。
「何と僕はケーキ焼いたんです」
「っいやがらせか!?僕は甘いものなんかごめんだ」
「いやがらせですよ、もちろん。あなた洋菓子なんか人間の食べ物として認めてないでしょう」 「……」
 噛み付いた如月に、おかしそうに壬生は図星を指した。
「僕は好きなんで、余ったら龍麻にでもどうぞ」
「その、ホールケーキを置いていくつもりか…」
「きっと、おいしいですよそんなに甘くないし」
「……善処してみよう」
それからもうひとつ。言わない方がいいのか少し迷ったが、如月は結局口にした。言えるときに言っておいたらいいのだ。
「……あのときは迷惑をかけた。」
「謝って欲しくなんかないですよ。」
予想に違わず壬生はそう切って捨て、
「元気そうで何よりです。」
玄関口に回るため歩き去られてしまった。


壬生が浸透する。



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破壊力抜群☆
これを去年のクリスマスにあげたかった…。

2008/01/02(水) シグナル・レッド04
シグナル・レッド04






 如月の目の前で龍麻は斬られた。真っ赤な血。染まる地面。
 くずおれる彼の身体。吐き出される止まらない血。その臭い。
 意識不明の重体が続いている。さっきは血圧が下がって心臓が止まった。院長の尽力もあってどうにかそこは持ち直したらしい。
 とりあえず桜ヶ丘のロビーのベンチに腰かけているということは理解しているものの、時間の感覚も曖昧なまま、如月は廊下の一点を見つめてただ震えていた。
 太陽が無くなるなど、想像すらしたことがなかった。龍麻はいつも、どこでも如月の光で、だから怪我はしても殺されるなんて、あんなに強い彼が誰かに負けるだなんて想像したこともなかった。実際出会ってから今まで龍麻が誰かに負ける姿なんて見たことがなかった。
「如月さん」
 通りのいい低音が、いつのまにかすぐ前で聞こえる。影が落ちるのに気づき、如月はようやくのろのろと頭を上げた。
「……何か用か?」
「あなたも仮眠をとった方がいい。もうずっと寝ていないでしょう」
 どさ、と隣のベンチに身を投げ出して、壬生が溜息をついた。いつにない様子に如月は勿論注意を払わない。
「いや、大丈夫だ」
「またそんなに思いつめて。行きますよ」
 如月の言うことなど聞いていないのだろう、早くも立ち上がった壬生に腕を軽くとられ、如月は不意に冷静な自分に返った。
「……ああ」
 そりゃそうだ人間寝なかったら生きていけない。ここで自分が寝なくて龍麻の容態がよくなるなら72時間くらい気合で不眠を通すがそんなことは勿論無いからとにかく龍麻が意識を取り戻すときに自分がベストでいることが何よりも。
「君は龍麻が必ず目覚めると思うかい?」
 ついうっかりと口にしてしまった呟きに、
「当たり前です。何くだらないこと考えてるんですかそれこそ寝不足のせいですよ」
不機嫌そうな返事が一瞬で返る。
「……そうかもな」
「何そんなに素直なんです」
 仕方なさそうに壬生が笑った。
 あ。
 こんなに龍麻が気にかかるのに、他のことなんて気にしていられない。
 そう思った。言わなければとも思った。終りにしなければ壬生に悪い。せめて自分から言い出すのが誠意だろう。
「壬生」
 立ち上がった如月に、壬生は何を言う暇も与えずにその手を引いて歩き出した。壬生の手は案外熱い。
「今はとにかく寝てください、仮眠室に案内します」
「言うことが」
「聞きません」
 背は振り返らない。そのまま幾分優しげに言われた。
「何がどうでも、僕は譲る気ないですから」
「……壬生」
 如月が言葉に詰まる間に、院長か高見沢から聞いているのか、壬生は迷うことなく病院の廊下を進み、奥まった狭い部屋のドアを開け強制的に如月をベッドに放り込んで布団をかぶせ、そしてあっさり出て行ってしまった。見事に如月に一言も言わせなかった。
 如月は鈍った頭でようやくはぐらかされたと認識し、どうしようもないのでそのままおとなしく布団にくるまった。冷えた身体が徐々に温まってくる。すぐに目眩するほどの眠気が襲ってきた。



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ちらっと更新。

2008/01/01(火) 謹賀新年
あけましておめでとうございます。
本当に高見さん(パソ)の調子が悪くてどうしようもないというぐだぐだなはじまりですが、今年もよろしくおねがいします。


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