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2004/09/21(火)
文学
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文学という言葉は死語になったのかというくらい話題にならなくなった。最近の芥川賞、直木賞が話題になったのは年少者が受賞したからで作品の内容が話題になったわけではない。 太宰治の作品にかぶれた人のことをダザイストなどといったのはすでに過去のこと。そんなに人生について真摯に考える若者はいないのだろう。 田宮寅彦の「足摺岬」は高校生のときは愛読書だった。教科書で読み、小遣いで買った文庫本で読み、図書室の全集本で読み、その都度同じ文章なのに新鮮な発見があった。
高校3年の読書感想文で図書館長賞をもらったのだが、なんとこれが夏休み最終日の夜の一夜漬けの文章だった。 1年、2年と賞をとりたくてがんばったが、いつも佳作どまり。3年のときは賞はねらわず、さらさらと書いたものが受賞するという皮肉である。これは愛読書の「足摺岬」を対象にしたために他ならない。 つまり当時の僕はかなり暗かったのである。大学にはとてもいけない環境の当時の自分と、すべてを棄てて足摺岬にたどり着いた主人公をダブらせて考えていたのだと今では分析している。 学歴なんてなんだってんだとうそぶいてみても、いまだに大学のキャンパスに憧れている大学コンプレックスなのである。
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