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2005/06/21(火) 豚の蚊とり線香入れ
今夜は異常に暑い。
網戸を潜り抜けるような小さな虫が大量に発生している。
今年初めて蚊とり線香を焚く。
夏の香りである。

蚊とり線香といえば、陶器の蚊とり線香入れで豚の形のものを中学生のとき買い求めたことがある。
当時かぐや姫の「神田川」に代表される四畳半フォ−クの全盛時代、上村一夫の「同棲時代」なんかも流行っていた。
長髪にベルボトムジ−ンズ、それでいてなぜか下駄や雪駄などもあり、新しい文化というより古い文化の見直しみたいなものがあったように思う。

そんな中、当時、この町ではお祭り的な農協の売り出しがあり、夜間まで開催されていた。生意気盛りの中学生二人がわくわくしながら出かけた。小遣いは500円程度しかなかったが、なぜか楽しかった。
豚の蚊とり線香はたしか400円前後ではなかったか。少しはおつりがきたような気がする。もう一人の中学生もこれを買った。
二人とも小遣いでこういうものを買うことによって、ちょっぴり大人になってみたかったのかもしれない。
このもう一人の中学生というのが、写真サ−クル「写団 猫の眼」の会長である。

この蚊とり線香入れは大事にしていたが、机から落としたとき欠けてしまい使えなくなった。高校生くらいのときだったと思う。

あの頃、何が楽しかったのかを分析してみようと思うが、まずは大人の仲間入りをしようとしていたこと。集会などに参加したかったこと。プロテスタントという言葉にあこがれたことなどだろう。

だから青年祭という町で大きなイベントがあった時も、例の中学生二人で出かけた。今で言うフリ−マ−ケットがあり、浅川マキのシングル盤(死語)「少年」をかなり安く買ってきた。
ステ−ジでは、長髪のお兄さん達がベンチャ−ズの「ウォ−ク・ドント・ラン」を演奏していたのを覚えている。

にきびだらけの中学生は大人になりたかった。自分の手でお金を稼ぎたかった。稼いだ金で何を買いたかったかというと、スバリ、カメラである。自分専用のカメラが欲しかった。もうひとつ欲しかったものがある。ギタ−である。ギタ−は小学生のときから兄のクラシックギタ−を弾いていたが、あの黒い半円形というのか、ピックガ−ドのついたものが欲しかった。
2年後には兄のお下がりのフォ−クギタ−がきて、それが実現する。

今夜みたいな暑い夜はいつもあの豚の蚊とり線香入れを思い出す。うちわと浴衣、風鈴なども夏の風物詩のひとつであるが、蚊とり線香入れは自分が初めて大人の仲間入りをした記念碑なのである。

エアコンの効いた涼しい部屋で勉強している自分の子供と比較すると、今の子供たちは幸せだなという反面、何か大切なものを失っている気がする。それが何なのかは言葉では言い表せないが、ひとつだけいえることは、間違いなく自分たちの中学生時代のほうが幸せだったということである。


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