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2005/06/22(水)
猫の顔
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土面作りをやっていると人間の顔が不思議に思えてくる。 優しい顔、恐ろしい顔、笑った顔などいろいろとあるが、本当に作りたいのはそんな顔ではない。
忙しさの中でふと見せるさびしい顔、楽しそうに笑ってる中に見える悲しい顔、そんな顔が本当の人間の顔なのではないだろうか。そんなものを作ってみたい。
ペットを飼っていると、その顔にも表情がある。我が家は猫であるが、連れ添って19年ともなればお互いに歩いてきた長い履歴書が顔に書いてある。ほかの家人にはそれがわからないが、僕にはそれがわかる。 時々猫に向かって語りかける。独り言のように家人には聞こえるかもしれないが、僕は猫と会話しているのだ。 そんなとき、あいつは遠い目をする。 もらわれてきたばかりの頃から、田舎に越してきたとき、嫁さんをもらったとき、子供が生まれたとき、そんな出来事をあいつはずっと見ていた。
中越地震のとき、あいつは具合を悪くして2泊3日の入院をした。獣医師から見放されてもうだめだと思ったとき、いろいろなことが思い出されて涙が止まらなかった。
しかし奇跡的に回復した。 抱いてやったときにあまりの軽さにびっくりしたものである。今はずいぶん太ってきている。しかもわがままの猫に戻った。
生きていて欲しい、どんなことになっても生きていて欲しい。 お前が生きているだけでみんなが幸せなんだよ、、、、。 そんなことを考えながらあいつの顔を見ていたら、 「わかった」 そう答えた。いやそういう顔をした。
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