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2006/03/13(月) アスファルト 13
 すぐに男は本署に連れて行かれた。あまりにも強盗殺人犯に似ていたのである。ただ、男には完全なアリバイがあった。強盗殺人のあった夜、男は路上でいつものように大声を出しては通りすがりの人に呶鳴っていたのである。

「顔を、顔を返してくれ〜、俺の、俺の顔を〜」

 これは同じ公園のホ−ムレスの人たちも証言したし、通行人の人たちも証言した。だいいちこんな状態で強盗殺人などできるはずがなかった。犯人は実に計画的かつ巧妙で指紋ひとつ残されていなかったのである。警察のほうでも手がかりが何一つ残されていないので、まったくのお手上げ状態だった。
 唯一生き残った小学生の子供がその顔を見ていた。その小学生が証言したモンタジュ−写真だけが頼りだったのである。

 男は釈放された。釈放されたといっても他に行くところもなかった。3日間留置所にいたおかげで酒も体から消えて、男はある程度は冷静に物事を考えられるようになっていた。

 男は警察署を出るとき、窓ガラスに張り出されたばかりの指名手配の顔写真を見てびっくりした。

「俺だ・・俺が写っている!!」

つづく


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